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2022 年度 実施状況報告書

高精度放射線治療における新たな三次元線量分布評価法の開発と臨床的有効性

研究課題

研究課題/領域番号 21K07662
研究機関国立研究開発法人国立がん研究センター

研究代表者

高橋 良  国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医学物理士 (10716757)

研究分担者 橘 英伸  国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 室長 (20450215)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード三次元線量分布評価 / ゲル線量計 / 定位放射線照射 / 患者毎の品質保証
研究実績の概要

本研究では高精度放射線治療における線量分布測定の新たな三次元測定器であるゲル線量計を対象とした、三次元線量域情報に基づく、新たな三次元線量分布評価法(3D dose structure based method; 3DDS法)を開発し、その方法の有効性を検証することを目的としている。
令和4年度は、3DDS法の有効性評価を行うため、臨床症例を用いて既知のエラーに対する検出能を既存評価法であるガンマ解析法との比較解析によって明らかにすることを予定していた。そのため、臨床症例の比較解析に先立ち、既知のエラーに対する3DDS法の評価指標の変化を把握する目的で、単純な構造体に対して線量誤差、位置誤差を付加し評価を実施した。また、線量分布検証で問題となるゲル線量計などの測定体系と患者体内との違いを考慮させるため、患者体内の標的、正常臓器の関心領域を利用した評価が行えるようソフトウェアの改修を実施した。
3DDS法では線量分布の重なり度合いである任意の線量域のOR (Overlapping Ratio)やVR (Volume Ratio)を主として評価される。単純な構造体に対して既知の線量誤差、位置誤差を付加した場合、線量誤差は主にVRに位置誤差はORに寄与する結果となった。一方で、線量誤差、位置誤差が複合された場合、その判別が困難であることも示唆された。そのことから、Isodose structure volume内の線量情報をDVHとして評価できることを活用し、従来のDVH評価で用いられるCI(Conformity Index)やHI(Homogeneity Index)の考え方を応用した評価指標を追加で算出できるようソフトウェア改修を実施している。また、予定していた臨床症例を用いた有効性評価は5割程度完了している状況である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

単純条件下での線量誤差、位置誤差に対する3DDS法での評価結果の変化を追加で実施したこと、および線量分布検証で問題となるゲル線量計などの測定体系と患者体内との違いを考慮させるため、患者体内の標的、正常臓器の関心領域を利用した評価方法の構築に時間を有した。また、それらを評価するためのソフトウェア改修に時間を有したことから、令和4年度に実施予定していた臨床症例を用いた3DDS法の有効性評価の実施が5割程度に留まった。

今後の研究の推進方策

令和5年度の上半期中に、令和4年度に実施完了予定であった臨床症例を用いた3DDS法の有効性評価を全て完了し、3DDS法の評価指標に対する許容値設定を完了する。その後速やかにゲル線量計を用いた多施設試験結果の解析を実施する。
多施設試験の参加施設選定は完了しているため、円滑に進展できるよう進めていく。

次年度使用額が生じた理由

円滑な研究進捗のために3DDS法の開発端末としてハードウェアの購入を予定している。また、自施設および多施設での検討に使用するゲル線量計測定一式が未購入である。
コロナ禍で自粛していたが、得られた研究成果等は国内学会(日本放射線腫瘍学会、医学物理学会等)、国際学会(米国放射線腫瘍学会、米国医学物理学会等)で随時発表し、学会誌等に発表する予定であり、それらにかかる交通費や論文校正費等が必要である。

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公開日: 2023-12-25  

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