研究課題/領域番号 |
21K07663
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
豊原 潤 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (50425659)
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研究分担者 |
森田 光洋 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (50297602)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アクアポリン / PET |
研究実績の概要 |
本研究では、最新の標識化学の知見を活用して、「AQP4に対する高感度かつ選択的な高品質のPET薬剤の実用化」を目的とする。APQに対するPET薬剤として、[11C]TGN-020が提案されているが、比放射能が低く極めて収率が悪い(1%以下)のため、標識合成法の改良を実施した。Bongarzoneらによる、Cu(I)触媒を用いたボロン酸エステルの[11C]カルボキシル化反応を用いて、中間体の[11C]ニコチン酸を合成した。モレキュラーシーブにより[11C]CO2を濃縮した場合、反応容器への[11C]CO2のトラップ率50%、ニコチン酸への反応効率60%で[11C]ニコチン酸が得られた。次のアミド結合生成反応には、第一段階で使用する触媒の影響で反応が進行しなかったため、固相抽出による[11C]ニコチン酸の簡易精製の方法を検討している。 TGN-020は脳脈絡叢に発現するAQP1に対しても親和性があるため、選択性が悪い。一方、これに対して近年報告されたARE-270はTGN-020に比べ、AQP4に対して高い親和性と選択性を有する。そこで、ARE-270のトリフルオロメチル基に着目して、[18F]ARE-270の標識合成を検討した。[18F]ARE-270の標識合成は、Hubianらによる[18F]トリフルオロメチル銅錯体と芳香族ヨウ素化合物のクロスカップリングを用いて[18F]ARE-270の標識合成を計画した。これまでに、サリチル酸とアニリンの酸塩化物を用いた縮合反応で、標準品のARE-270を70%、標識前駆体のヨウ素体を35%の収率で得た。また、[18F]トリフルオロメチル銅錯体と芳香族ヨウ素化合物のクロスカップリング反応についてモデル化合物による検討を実施し、標識可能であることを確認してた。一方、モデル化合物での検討から、Hubianらによる方法では、加熱条件が過酷であるため、基質によっては分解が促進されることも明らかとなった
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[11C]TGN-020の合成に関して自動合成装置のプログラムおよび合成用カセットの組み立ては終了している。中間体までの合成は確立している。 令和4年度実施予定の[18F]ARE-270の標識合成検討に必要な標準品と標識前駆体の合成は終了している。また、[18F]トリフルオロメチル銅錯体と芳香族ヨウ素化合物のクロスカップリング反応についてモデル化合物による検討を実施し、標識可能であることを確認してた。一方、モデル化合物での検討から、Hubianらによる方法では、加熱条件が過酷であるため、基質によっては分解が促進されることも明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度内に[11C]TGN-020の自動合成装置による自動化を完成させる。 [18F]ARE-270の[18F]トリフルオロメチル銅錯体と芳香族ヨウ素化合物のクロスカップリング反応による標識合成を試みる。本方法で難しい場合には、より温和な条件下で反応が進むと考えられる[18F]芳香族ボロン酸化合物を標識前駆体とした検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、予定されていた海外学会・国内学会が延期もしくはweb開催となったため、旅費を使用しなかった。2022年度は国内移動や渡航などの緩和が予想されるため、学会参加の増加が見込める。
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