研究課題/領域番号 |
21K07665
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
舘脇 康子 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (40722202)
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研究分担者 |
瀧 靖之 東北大学, スマート・エイジング学際重点研究センター, 教授 (10375115)
中澤 徹 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30361075)
Thyreau Benjamin 東北大学, スマート・エイジング学際重点研究センター, 助手 (30709522)
武藤 達士 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (80462472)
面高 宗子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (80569583)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 緑内障 / MRI / AI / 早期発見 |
研究実績の概要 |
緑内障は本邦において推計400万人が罹患する老年病であり、網膜神経節細胞脱落部位に応じた進行性の視野障害を特徴とする。緑内障では網膜だけではなく中枢視路である視神経から大脳視覚野にまで体系的に変性が及び、MRI技術を用いてこれらの変化を詳細に可視化・定量化する試みが行われているが、未だ臨床応用には至っていない。本研究は脳MRI画像から得られる視野障害の程度を反映する定量指標を、客観的な新たな視機能評価法として臨床応用することを目指す。本研究は既存の知見をもとに脳MRI情報から視機能を予測するモデル構築を行い、さらにAIを活用して高精度の診断性能を持つソフトウェア開発を目指したものである。 当初、R3年度は100名のテストデータの収集を予定していたが、コロナ感染の収束が見通せず、データ収集は断念した。代わりに、当該年度では既存の緑内障縦断MRIデータベースの約280症例のデータを用いて、画像解析プログラム開発を進めた。まずは、眼科データの充実化を行った。これまでのデータベースに含まれていたMDやOCTによるRNFLTの値だけではなく、網膜に残存する網膜神経節細胞数の推定値であるwRGC(weighted retinal ganglion cell count)の算出を行い、緑内障進行度を示すパラメータとして追加した。wRGCは緑内障の早期から後期にかけての視機能との追従性が良好で、既存のパラメータと比較して緑内障の進行度をより正確にとらえることができると考えられる。次に、画像解析に先立ち、緑内障縦断コホートの解剖学的3D-T1強調画像を対象としてFreesurferにより詳細な灰白質構造の抽出を行い、percellationとsegmentation技術を用いて全脳の解剖学的構造を関心領域とした、各構造の体積と皮質厚データを取得し、視野を推定する数理モデル作成およびAIシステム構築のための準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
約280例の緑内障の縦断MRIデータベースの解剖学的3D-T1強調画像の解析に着手し、Freesurferによる解析処理を終了し、数理モデル作成の準備を整えた。もう一方のfMRIについてのデータベースの構築は終了したが、解析については未着手であり、当初の予定よりやや遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、Freesurferで出力された皮質厚マップなどの画像パラメータを用いて、眼科の視野データベースを教師データとして機械学習アルゴリズムを用いて、仮想視野を出力するプログラムを作成する予定である。これと並行して、レチノトピータスクMRIの解析処理を行い、視野に相関したcortical presentationマップを作成する予定である。 また、コロナの感染拡大状況を鑑みながら、テストデータの収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症まん延のため、データ収集ができず、これに関わる謝金や検査費用が使用できなかった。次年度はデータ収集、データ解析に関わる支出が生じる予定である。
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