研究実績の概要 |
急性期脳梗塞の治療は時間との戦いである。治療開始が早いほど予後が良好であり“time is brain”と呼ばれている。それゆえ、必要最小限の画像情報を最短で得ることができる画像診断プロトコールを用いることが重要である。この研究の目的は、急性期脳梗塞治療に対して必要最小限の画像情報を最短で得ることができる非造影Dual-energy CTによる画像診断プロトコールの開発である。そのために、非造影Dual-Energy CT を用いて、頭蓋内出血の除外のための画像診断法、血管閉塞の診断・閉塞部位の診断のための画像診断法、早期虚血変化の診断のための画像診断法、治療直後のヨード造影剤の血管外漏出と脳出血との鑑別および治療直後の脳梗塞の範囲の診断のための画像診断法、これらの画像診断法を組み合わせたプロトコールを開発する。今年度は、血管閉塞の診断・閉塞部位の診断のための画像診断法に取り組んでいる。造影剤を使用しない非造影のDual-Energy CTにて、血管閉塞の診断・閉塞部位の診断ができれば、急性期脳梗塞の代表的な治療法の一つである血栓回収術を非侵襲的かつ迅速に開始することができる。今年度は、非造影のDual-Energy CT画像の80kV, 120kV, Sn150kV, Monoenergetic imaging(40keVから190keV)の各々の画像にて、6mm, 3mm, 1mmの各スライス厚での検出能力にて検討している。予備的な検討では、非造影のDual-Energy CTによるMonoenergetic imagingの高エネルギー画像の有用性が示唆された。スライス厚が非常に重要であり、薄いスライス厚、特に1mmスライス厚の高エネルギー画像の有用性が示唆されている。現在も検討中である。
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