研究課題/領域番号 |
21K07676
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤田 展宏 九州大学, 大学病院, 助教 (30610612)
|
研究分担者 |
石神 康生 九州大学, 医学研究院, 教授 (10403916)
西江 昭弘 九州大学, 医学研究院, 教授 (20457427) [辞退]
石松 慶祐 九州大学, 大学病院, 医員・臨床助教 (20800147)
牛島 泰宏 九州大学, 大学病院, 講師 (40432934)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 肝臓 / MRI |
研究実績の概要 |
肝再生は様々な因子により複雑に制御されている。現在、肝再生の評価・予測には、血液学的検査による肝機能評価、生検などの組織学的検査、肝の容積を測定するvolumetryが用いられているが、現状では十分な精度があるとは言い難い。MRIにはvolumetryだけでなく、肝機能や組織学的な肝実質の炎症・線維化、肝再生に関与しうる微小環境(脂肪・鉄沈着量やタンパク量)を評価できる種々のパラメーターが存在し、肝再生に伴う肝実質の変化を包括的に評価することが可能である。本研究の目的は、肝再生が重要である様々な臨床状況において、肝再生に伴うMRIパラメーターの変化を観察し、肝再生の新たな評価法を確立することである。 本年度は、肝片葉切除後の患者を対象として研究を行った。手術前後でCTによるvolumetryを行い、術後の肝再生を定量的に評価した。MRIの画像パラメーターとして、Gd-EOB-DTPA(gadolinium ethoxybenzyl diethylenetriamine pentaacetic acid、以下EOB)造影MRIを用い、EOB投与後20分後の肝細胞相において、EOBの取り込みの程度を評価した。また、3D modified DIXON(mDIXON)法による肝実質の脂肪沈着(fat fraction)および鉄沈着(R2*)の評価も行った。これらの画像パラメータに加え、血液学的検査による肝機能や組織学的肝実質の炎症や線維化の程度を含め、肝再生の程度の比較を行った。結果、肝実質のEOBの取り込みの程度が肝片葉切除後の肝再生の程度と有意な相関があった。EOBの取り込みの程度が肝片葉切除後の肝再生の予測に有用である可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、肝実質のEOBの取り込みの程度が肝片葉切除後の肝再生の予測に有用である可能性が示唆された。同研究結果を来年度に学会発表・論文作成予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度以降は、EOB造影MRIや3D modified DIXON(mDIXON)法のみならず、体内組織の弾性(elasticity)を画像化する撮像法であるMR elastography, タンパク質の定量的評価が可能な撮像法であるT1ρ値計算画像、CEST (chemical exchange saturation transfer) 画像のパラメーターの解析も行う。また、肝片葉切除だけでなく、肝移植後や経皮経肝門脈塞栓術後、急性肝炎/劇症肝炎後など、他の肝再生が重要となる症例を対象として、同様の検討を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
海外、国内を含め、旅費の使用額が今年度は少なく、来年度以降使用する予定である。
|