研究実績の概要 |
本年は、主に本研究課題が最初に到達すべき、脳深部刺激治療(DBS)で治療に欠かせず、画像上での観察が最も困難なVimや、ほかの視床核を同定する位相画像技術の開発を行うことにあった。事前に取得されたmulti-echo GRE法で撮像されている健常ボランティアデータベースから、10名を抽出し、high-pass処理を行った位相画像を用いて、位相差強調画像化法(PADRE)を用いて、ミエリンを強調する組織x強調画像を作成した。強調パラメタは、(a, b, c) = (5, 0, 1)を用いて、filter sizeは128x128とした。作成された組織強調画像をAC-PCラインで水平断面を作成し、次の基準でVimを視床内で同定することとした:①淡蒼球終端付近に位置する ②内髄板に向かって伸び、髄板に至る ③内方後脚に接続する ④PADRE組織強調画像上では低信号 ⑤幾何学的には左右方向に7~10mm, 前後方向に2~4mm, 頭尾方向に4~6mm これらの条件を満たすように手動でROIを引き体積を引き、Gravbrotらの報告にあるようにVim体積が視床体積の0.5~2.0%内に収まるかどうかを検討して、正しく検出されているかを測定した(Gravbrot, stereotactic and functional neurosurgery, 2019)。その結果、両側Vim体積は、視床体積の0.891±0.237%であり、右側視床内のVim体積が左側に比べてやや大きい(0.01%)ことが明らかになり、さらに加齢に伴って、有意に体積が減少していた。Arshadらの研究(Arshad, Neuroimage, 2016)によれば、加齢に伴い体積は減少するため、その体積と加齢傾向から、本年度開発した検出法は、正しくVimを検出していると考えられる。
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