研究課題/領域番号 |
21K07679
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
福倉 良彦 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (50315412)
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研究分担者 |
上村 清央 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (30593652)
吉浦 敬 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (40322747)
岩永 崇 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 診療放射線技師 (40444830)
東 美智代 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 准教授 (60315405)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | CEST画像 / 膵癌 / 治療効果 / 予後 / 個別化医療 |
研究実績の概要 |
予後不良な膵癌において早期発見および治療効果に基づいた個別化治療による成績の向上は急務であるが、現状の形態や生理的情報画像を用いた画像には限界がある。MRIの分子イメージングの一つであるChemical Exchange Saturation Transfer(CEST)MRIは、これまで取得が困難であった代謝化合物や組織内環境に関する情報を非侵襲的に提供しうる。よって、① CEST MRI撮像法の膵臓への最適化、② CEST MRIによる膵癌の診断ならびに治療抵抗性の予測法の確立、③ 他の非侵襲的撮像法との組み合わせによるマルチパラメトリック定量的MRIに基づく治療効果・予後の予測モデルの開発を目的として、研究中である。 研究初年度の本年度は、CEST MRIのシーケンス開発・最適化ならびに解析法の開発を手掛けた。腹部MRIにおいては静磁場の不均一が問題となる。この点にかんして、B0マップによる補正が有用であることが明らかとなった。また、何よりも動きによる影響のない息止め撮影での飽和パルスの適正化を行っている。 脂肪信号の影響はCEST MRIにおける定量化の正確性に大きく左右する。よって、これまで脂肪を有する膵臓においては正確なAPT信号を得ることが困難であった。今回、脂肪抑制撮像法(DIXON法)でもTSE法の撮像法と同様の精度でAPT信号が得られることが明らかとなった。現在、脂肪の程度と脂肪抑制撮像法(DIXON法)によるAPT信号との関連を評価中である。 同時に、膵腫瘍が疑われた患者に対し、APT CEST、AACID CEST、ASL、IVIM MRIを施行し、症例を蓄積中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CEST MRIのシーケンス開発・最適化ならびに解析法の開発に関しては、順調に進展している。 しかしながら、APT-CEST による膵腫瘍の診断的有用性の評価、定量的MRIデータと免疫組織的所見との関連の解明や非侵襲的定量的MRIデータによる治療効果・予後との関連の解明は、コロナの影響により膵癌症例の登録がやや遅れがちである。
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今後の研究の推進方策 |
膵腫瘍が疑われた患者に対しMRI を施行し、得られた組織内環境情報(APT CEST による信号強度、AACID CEST によるpH 情報、ASL 灌流画像による血流量、IVIM パラメータ)を解析する。 同時に、治療後3ヵ月毎のCTから、RECISTにより治療効果判定を行う。また、全例で生存確認を随時行い、臨床的予後因子との最適な組合せを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響により、膵癌症例の登録がやや遅れがちであり、必要な免疫組織学・遺伝子学的検査抗体などの消耗品の購入や自動免疫染色費用、データ解析の人件費・謝金の出費が先送りとなった。
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