研究課題
<目的>治療効果向上と有害事象軽減を目指した「個別化放射線治療」を実践するために、局所進行悪性腫瘍に対し、末梢リンパ球や血中の腫瘍由来エクソソームに存在する、mRNAやmiRNAの発現パターンを調べ、放射線治療効果を予測する。またDNA修復能の指標として末梢リンパ球の放射線誘発ガンマH2AXフォーカスを測定する事で有害事象を予測する。これらの手法を用いて個々の患者毎の特性に合わせて線量分割や照射体積を調整する。<方法>以下に示す方法で、末梢血リンパ細胞およびエクソソーム内のmRNA/miRNA発現パターンや末梢血リンパ細胞の放射線誘発ガンマH2AXフォーカス形成能を測定した。(A) 血漿中からのエクソソームの抽出とRNA分離・発現解析は、QIAGEN社のexoRNeasy plasma kitを用いた。バイオアナライザーを用いてRNA濃度と目的となる20‐25塩基配列程度のmiRNAが取れている事を確認した。QIAseq miRNA Library Kitを用いてRNA解析を行なった。これまで子宮頸がん36例からのエクソソーム抽出を行い、再発リスクとなる候補miRNAを抽出した。(B) 末梢血リンパ細胞の放射線誘発ガンマH2AXフォーカス計測は、ex vivoでX線を1Gy照射し、30分後および4時間後にリンパ球を分離・固定を行い、スライドグラス上で蛍光免疫染色を行い、蛍光顕微鏡下にフォーカス数をカウントし、その変化率を計算してDNA修復能力を数値化する。
2: おおむね順調に進展している
対象患者からの血液採取は順調に進んで、エクソソーム由来miRNAの抽出、RNAseqを用いた配列解析が終了した。本研究はMMMO誌に論文投稿し受理されている。放射線誘発ガンマH2AXフォーカスの計測も50名分のカウントが終了し、結果をまとめて今年度の日本放射線腫瘍学会生物部会での発表と論文投稿を予定している。
今年度は、ガンマH2AXフォーカスに関連する研究を学会発表、論文作成を行う。次の研究のため、子宮頸癌の生検検体の免疫染色、末梢血リンパ球の採取を開始していく。
患者集積ペースに合わせて、H2AXフォーカスの解析を次年度に遅らせたため。その分の解析を今年度に予定している。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
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