研究課題
<目的>治療効果向上と有害事象軽減を目指した「個別化放射線治療」を実践するために、局所進行悪性腫瘍に対し、末梢リンパ球や血中の腫瘍由来エクソソームに存在する、mRNAやmiRNAの発現パターンを調べ、放射線治療効果を予測する。またDNA修復能の指標として末梢リンパ球の放射線誘発ガンマH2AXフォーカスを測定する事で有害事象を予測する。これらの手法を用いて個々の患者毎の特性に合わせて線量分割や照射体積を調整する。<方法>以下に示す方法で、末梢血リンパ細胞およびエクソソーム内のmRNA/miRNA発現パターンや末梢血リンパ細胞の放射線誘発ガンマH2AXフォーカス形成能を測定した。(A) 血漿中からのエクソソームの抽出とRNA分離・発現解析は、QIAGEN社のexoRNeasy plasma kitを用いた。バイオアナライザーを用いてRNA濃度と目的となる20‐25塩基配列程度のmiRNAが取れている事を確認した。QIAseq miRNA Library Kitを用いてRNA解析を行なった。これまで子宮頸がんに対して根治的放射線治療を行った45例からのエクソソーム抽出を行い、再発リスクとなる候補miRNAを抽出した。(B) 末梢血リンパ細胞の放射線誘発ガンマH2AXフォーカス計測は、ex vivoでX線を1Gy照射し、30分後および4時間後にリンパ球を分離・固定を行い、スライドグラス上で蛍光免疫染色を行い、蛍光顕微鏡下にフォーカス数をカウントし、その変化率を計算してDNA修復能力を数値化した。対象は子宮頸癌および膣癌、肛門管癌に対して根治的放射線治療を行った46例であった。<結果>エクソソーム由来miRNAのSignitureによって、子宮頸癌の再発リスク予測モデルの確立をおこなった。また放射線誘発ガンマH2AXフォーカスによる晩期有害事象予測の可能性を示す事ができた。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 1件、 招待講演 6件)
In Vivo
巻: in Press ページ: in Press
International Journal of Clinical Oncology
巻: in Press ページ: online
Cancer Medicine
巻: 13 ページ: online
10.1002/cam4.6985
北海道放射線医学雑誌
Medical Molecular Morphology
巻: 56 ページ: 288~296
10.1007/s00795-023-00367-8
Journal of Radiation Research
巻: 64 ページ: 948~953
10.1093/jrr/rrad079
Radiological Physics and Technology
巻: 16 ページ: 262~271
10.1007/s12194-023-00715-4