現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常者において、体温は朝と比較して夕方の体温が有意に高値を示したが、脳温度は朝と夕方の間に有意差は認められなかった。一方で、男女で比較検討したところ、脳温度の日内変動は性別により異なる可能性が示唆された。これらの結果について、論文で発表した(Horiuchi D, Shimono T, et al. Neuroradiology. 2023 Aug;65(8):1239-1246.)。また、本研究結果を第59回日本医学放射線学会秋季臨床大会(2023/9/15-17, 徳島)にて発表を行い(堀内, 下野ら. )、優秀演題賞を受賞した。 アルツハイマー病患者において、脳温度、アミロイドPETの集積、拡散強調像より算出されるdiffusion tensor image analysis along the perivascular space (DTI-ALPS) index(脳内に蓄積した老廃物やタンパク質を除去するglymphatic systemと呼ばれるクリアランス機能の指標)の関連を調べたところ、脳温度とALPS indexに正の相関がみられた。これらの結果について英文誌 (Matsushita S, Shimono T, et al. JMRI. 2024 Apr;59(4):1341-1348.)、国際学会(2023 ISMRM & ISMRT Annual Meeting and Exhibition, 2023/6/3-8, Toronto)にて発表を行なった(Matsushita S, et al. The association of amyloid PET, metabolic brain MRI, and in Alzheimer's disease and normal controls: an OASIS-3 dataset analysis.)。
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今後の研究の推進方策 |
今後、脳腫瘍(神経膠腫)のオープンソースデータを利用して、既に収集した健常者群でのデータも用いて、健常者群と疾患群での比較を検討している。また、脳腫瘍において脳温度が予後などにどのような影響を与えるかについても評価することを検討している。 また、同一被検者に対して同日内に複数回頭部MRI検査を施行したデータを用いた研究は少なく、脳温度以外の指標における日内変動に関する研究を検討している。近年、脳内に蓄積した老廃物やタンパク質を除去するglymphatic systemと呼ばれるクリアランス機能が注目されている。アルツハイマー病などの神経変性疾患ではglymphatic systemの機能が低下し、先述のALPS indexも低下することが報告されている。健常者において脳内のクリアランス機能が日内変動するか否かは、疾患群を評価する際の重要な基礎データになると考えられる。本研究で収集したデータを用いて検討した結果、健常者においてDTI-ALPS indexは有意な日内変動を示さなかった。この結果を第83回日本医学放射線学会総会(2024/4/11-14, 横浜)にて発表し(堀内, 立川, 下野ら. 健常者におけるDTI-ALPS indexの日内変動の評価)、今後はこのデータを元に論文での発表を検討している。
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