研究課題/領域番号 |
21K07690
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
下地 啓五 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20348931)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | brain / MRI / 拡散テンソルイメージング / 神経突起イメージング / DTI-ALPS / harmonization |
研究実績の概要 |
大脳皮質基底膜症候群を呈する大脳皮質変性症(CBD-CBS)とリチャードソン症候群を伴う進行性核上性麻痺(PSP-RS)の鑑別は特に初期においては臨床症状や病態が密接に重なるためしばしば困難である。我々はクラスタリングと疾患進行モデリングを統合した新しい教師なし機械学習技術であるSubtype and Stage Inference(SuStaIn)を用いて、横断的データに基づく純粋なCBS患者とPSP-RS患者の脳萎縮の時間的進行パターンの違いを論文化し、昨年度報告した(Saito, Shimoji, et al. Front Neurol. 2022)。当初、令和4~5年度に予定していた次世代的定量MRIや臨床データを用いた脳神経変性疾患の進行パターンの推定の検討を進める予定であった。しかし、利用可能なデータが多施設で取得されたものでありMRI機種や撮像プロトコルが異なるため、疾患による変化と施設間差による影響を分離できない問題があった。まず、この「施設間差による影響を除去(調和)」するため、拡散MRI定量値(拡散テンソルイメージング・神経突起イメージング・diffusion tensor image analysis along the perivascular space [DTI-ALPS])の調和を検討し、多施設データを用いた場合でも施設間差による影響を除去して、疾患による影響を検出可能であることを示した。本研究の、拡散テンソルイメージング・神経突起イメージングの調和については国内外で報告の上、投稿準備中である(Saito, Shimoji, et al. Nat. Commun. 2023 [予定])。DTI-ALPSの調和については国内外で報告の上、論文化した(Saito, Shimoji, et al. Jpn J Radiol 2023)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、令和4~5年度に予定していた次世代的定量MRIや臨床データを用いた脳神経変性疾患の進行パターンの推定の検討を進める上で問題となっていた「施設間差による影響を除去(調和)」を解決するため、拡散MRI定量値の調和を検討し、多施設データを用いた場合でも施設間差による影響を除去して、疾患による影響を検出可能であることを示した。本研究の、拡散テンソルイメージング・神経突起イメージングの調和については国内外で報告の上、投稿準備中である(Saito, Shimoji, et al. Nat. Commun. 2023 [予定])。DTI-ALPSの調和については国内外で報告の上、論文化した(Saito, Shimoji, et al. Jpn J Radiol 2023)。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に実装した調和技術を次世代的定量MRIに適応し、疾患進行パターンとそのサブタイプ分類が可能な教師なし機械学習SuStaInを用いて、当初予定していた、次世代的定量MRIや臨床データを用いた脳神経変性疾患の進行パターンの推定の検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内学会(2件:100,000円)と国際学会(2件:400,000円)の現地参加を予定していたが、新型コロナウイルス感染症まん延防止のためでWeb開催となり、旅費が必要なくなったため。また、本研究成果である原著論文のオープンアクセス費(2編:$7580, 約1,000,000円)を別の研究費で執行したため次年度使用額が生じた。現在、本研究に関連する論文を2編執筆中であり、論文の英文校正費(2件:300,000)およびオープンアクセス費(2件:$7580, 約1,000,000円)必要である。これらの費用を次年度使用額と翌年度分の助成金で執行予定である。
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