研究課題/領域番号 |
21K07692
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
武田 賢 東北大学, 医学系研究科, 教授 (60312568)
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研究分担者 |
角谷 倫之 東北大学, 大学病院, 助教 (20604961)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 頭頚部がん / 放射線治療 / 解剖学的変化 |
研究実績の概要 |
頭頸部がんに対する外部照射期間中に腫瘍体積の減少を含めた解剖学的変化が起こることが知られている。そのため、治療計画線量とは異なる線量が照射される危険や固定精度が低下する懸念がある。対応策として適応放射線治療(Adaptive radiation therapy: ART)が検討されているが、その施行には多大な労力とコストがかかるため、ARTを優先すべき症例やその行うタイミングを放射線治療前に予測することができれば、効率よくARTをすることができる。そのため解剖学的変化がどの様な特徴を持つ症例でどのタイミングで起こるのかを予測する研究が多く行われている。 申請者らは解剖学的変化の一つとして照射期間中の頭頸部体積減少に着目し、毎回の照射前に位置照合用に撮像しているCone Beam Computed Tomography(CBCT)を用いて、頭頚部がん患者の頭頸部体積を算出した。全治療回毎に頭頚部体積を算出することで初回外部照射からの頭頚部体積変化率を求め、頭頸部体積の縮小が大きい患者とそうでない患者を分類した。また、放射線治療計画用computed tomography(CT)から頭頚部がんの原発巣と頸部転移リンパ節の肉眼的腫瘍体積からラジオミクス特徴量を抽出した。そのラジオミクス特徴量と外部照射開始前に知り得る臨床情報を用いて、外部照射期間中の頭頸部体積縮小が大きい患者の予測を試みた。「臨床因子単独群」、「ラジオミクス特徴量単独群」、「両者組合せ複合群」に分類してモデルを作成し、頭頚部体積縮小予測が可能な症例と困難な症例を検討した結果を2022年4月の第123回日本医学物理学会学術集会、モデルに改良を加えた結果を11月の日本放射線腫瘍学会第35回学術大会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は主として、自施設で外部照射(強度変調回転放射線治療(VMAT))を施行した頭頚部がんの位置照合用cone-beam computed tomography (CBCT)画像から頭頚部体積データの収集と調査を行い、2021年11月の日本放射線腫瘍学会第34回学術大会および2022年3月の第53回高精度放射線治療外部照射部会学術大会で進捗状況を報告した。2年度目は、初年度の症例数の3倍の170症例超に症例数を蓄積し、「臨床因子単独群」、「ラジオミクス特徴量単独群」、「両者組合せ複合群」に分類してモデルを作成し、頭頚部体積縮小予測が可能な症例と困難な症例を検討した結果を2022年4月の第123回日本医学物理学会学術集会、モデルに改良を加えた結果を11月の日本放射線腫瘍学会第35回学術大会で報告した。 然しながら、新型コロナウィルス感染症禍の影響やセキュリティ上の問題から、初年度同様、他施設とのデータ共有調査は厳しい状況が続いたため、申請者らの単施設での検討に留めざるを得なかった。 MRIやFDG-PET等の医用画像を用いた調査については、頭頚部がん診断時の機種や撮像シークエンスについての作業を50症例まで施行したところ、撮像機種や撮像施設のばらつきが想定以上に大きく、ラジオミクス特徴量の調査に影響する懸念があることが判明した。研究協力者らと協議の上、本研究でMRIやFDG-PET等の医用画像を用いた調査は見送ることとし、今後は外部照射期間中の頭頚部体積縮小に関連した調査に注力する方針とした。
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今後の研究の推進方策 |
MRIやFDG-PET等の医用画像を用いた調査については、頭頚部がん診断時の撮像機種や撮像シークエンスについての作業を50症例まで検討したところ、撮像機種や施設のばらつきが想定以上に大きいことが判明した。施設内の放射線診断医と協議し、本調査でMRIやFDG-PETを使用するのは一旦、見送ることとした。今後は外部照射期間中の頭頚部体積縮小に関連した調査に注力し、頭頚部体積予測モデルの精度向上と精度検証のため、市販の統計ソフトによる解析や、更新した放射線治療計画装置による検証を含めて調査を継続し、英語論文発表に向けた活動を行う。
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