研究課題/領域番号 |
21K07698
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
市川 勝弘 金沢大学, 保健学系, 教授 (40402630)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | CT装置 / 極超高解像度 / 解像特性 / 線量 / 検出器 |
研究実績の概要 |
2021年度では,本課題での開発目的である肺および骨の微細構造を描出するための,検出器素子サイスが0.07mmとなる極超高解像度CTの装置の製作を行う予定であった.しかし,新型コロナウィルスのパンデミックの影響を受け,電子部品の海外からの供給が滞り,開発の途中段階で停滞した.ガントリを構成するアルミ部品,X線検出器,及び駆動モータは確保したが,回転制御基板,及びX線管装置の供給が得られなかった.そこで,X線管装置に所属施設の実験室のものを用い,固定ジオメトリで(CTに必須の回転機構を用いずに),どの程度の解像特性が得られるか実験を行った.焦点-回転中心間距離は通常CTと同等レベルの600 mmとし,回転中心-検出器間距離を240mmとして拡大率を1.4倍として,タングステンエッジを撮影した.なおX線焦点サイズは0.6mmであった.得られた画像データのエッジ部分プロファイルを微分して,線広がり関数を得て,それをフーリエ変換することで,modulation transfer function (MTF)を算出した.その結果,5%MTFは,約4.8 cycles/mmとなり,目標値である5 cycles/mmにほぼ近い値となった.設定した10mAの電流値における線量測定の結果からCTDIの推測値は約10mGyとなり,これも目標値にほぼ一致した.用いた焦点サイズは,納品予定のX線管と同等であることから,開発予定の装置において,0.1mmの極超高解像度が得られることの確信を得た.2022年度では,不足物品の供給を受け次第ただちに装置を制作し,予定に従い,MTFとノイズ特性であるnoise power spectrum (NPS)の測定からsignal-to-noise ratioを測定し,CT装置としての性能を検証する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスのパンデミックの影響を受け,海外からの部品供給が滞り,入手予定であった物品のうち,X線管装置と回転制御基板が供給されなかった.よって,装置の製作が途中で停滞した.
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今後の研究の推進方策 |
物品がすべて供給されたら,ただちに装置を製作しさらに性能試験を行い,極超高解像度に必要な性能が得られているか検証する.性能の状況次第によっては,ジオメトリの調整を行い,目的としている0.1mmの解像が得られる装置を完成させる.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品と旅費をあわせて助成額に近くなったが,新型コロナウィルスの影響で研究が進まないことが原因でそれ以上の支出が発生しなかっためである.次年度に研究が開始次第,停止していた必要物品の購入が必要でありそのための支出に当てる予定である.
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