研究課題/領域番号 |
21K07700
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
皆巳 和賢 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90634593)
|
研究分担者 |
玉利 慶介 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30718995)
高橋 豊 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (40353461)
金井 達明 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教授 (80161149)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 強度変調炭素イオン線治療 / 重粒子線 |
研究実績の概要 |
炭素イオン線治療は、X線や陽子線に比べて殺細胞効果が高い反面、正常組織への線量漏洩がもたらす副作用も大きい。現在の臨床では、設定されている難治性固形癌の至適線量の多くが、近接した正常組織(リスク臓器)の耐用線量によって決まっている。近年、細い粒子ビームを用いて照射野内を塗りつぶす様に照射できるスポットスキャニング照射法の出現により不整形照射野への線量集中性は改善されたが、依然として照射野辺縁に無視できない線量域が形成されてしまう。この改善策として、強度変調炭素イオン線治療の開発が望まれている。本研究の目的は、スポットスキャニング照射法の発展型である強度変調炭素イオン線療法に対する細胞応答を細胞死、遺伝子・タンパク質発現変化から総合的に解析して、強度変調炭素イオン線療法を含む炭素イオン線治療における生物学的評価と治療計画への応用を図る基礎研究とすることである。 本年度は、照射野中央をくり抜いた不整形な照射野を3方向からの照射により作成し、その不整形照射野に狙った線量を照射できるシステムを開発した。治療計画により、中央のくり抜き部分は細胞生残率が100%、残りの照射野での細胞生残率が10%となるように治療計画を計算し、細胞実験を行った。その結果、狙った細胞生残率が実測でも再現された。これにより、従来の方法では照射野辺縁に生じる線量の漏れが発生する様な不整形照射を改善し、高精度な炭素イオン線照射システムが構築できることを証明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
強度変調炭素イオン線照射システムの構築が本課題のハイライトであり、開発までに2年程度を要すると見込んでいたが、1年目でシステム構築する事ができた。
|
今後の研究の推進方策 |
システム構築が大幅に進んだ為、既に動物実験に進んでいる。今後、並行して、炭素線治療計画装置VQA(日立製作所社製、v5.10)を利用し、患者データを用いて強度変調治療計画を立て、実際に患者に用いられたSFUD治療計画との差を検証する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
想定していたよりも早期に実験系とシステムの構築が完了し、その分使用金額に差が生じた。次年度は、動物実験が主体となる為、その費用に使用する。
|