研究実績の概要 |
令和3年4月から改正電離放射線障害防止規則が施行され放射線業務従事者の眼の水晶体の等価線量の限度は「5年間につき100mSv以内及び1年間につき50mSv以内」に引き下げられ線量の測定に関しては3mm線量当量での測定が追加された。本年度は放射線使用した画像下治療(IVR)の術者の水晶体線量をICRP推奨の測定方法、即ち今般の改正電離放射線障害規則に準じた防護眼鏡下で3mm線量当量が測定可能な水晶体専用線計(DOSIRIS, Hp(3))と以前の法令上の水晶体線量測定法 (ガラスバッジで防護眼鏡外Hp(0.07))を比較検討した。 結果:4名の各IVR術者の年間水晶体線量はガラスバッジ(防護眼鏡外)/DOSIRIS(防護眼鏡下)は、5.928/3.36, 3.204/2.604, 8.796/4.884 ,8.796/5.196 mSvであった。今回使用した防護眼鏡(0.07mmPb、角度調整機能なし)の遮蔽率は各術者で42.7, 19, 44.5, 40.9%で平均36.8%であった。 考察:今回の対象術者で旧法令の防護眼鏡外のガラスバッジでの年間水晶体線量は新線量限度を超える術者は認めなかったが今回検討以外の術者でガラスバッジ(防護眼鏡外)での年間水晶体線量限度20mSvを超えた術者を確認している。この術者の防護眼鏡の遮蔽率40%程度を考慮した防護眼鏡下の真の水晶体線量は12mSvで新線量限度を超えることはない。但し今回対象4術者に於ても各手技でX線の使用方向や対象患者の体格等の多様性から防護眼鏡の遮蔽率の相違がありガラスバッジの測定値からメーカー報告の遮蔽率を考慮した画一的な防護眼鏡下水晶体線量の測定には問題があると考えられた。即ち今般の改正電離放射線障害防止規則を遵守するためには防護眼鏡下で水晶体専用線量計を左目近傍に装着し真の水晶体線量を測定することが必要と考えられた。
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