カルボニル化合物のα炭素へのフッ素化や[18F]標識化は、ポジトロン断層撮影(PET) における創薬開発に直結した魅力的な反応であるが、実用的な方法は未だない。本研究期間では、銀塩を用いると温和な条件かつ簡便な操作で、1-3級α-ブロモアミドの求核的フッ素化反応およびトリフルオロメチルチオ化反応が進行することを見出した。光学活性な基質を用いると、絶対配置が維持された光学活性なフッ素化生成物が得られることから、カチオン性アジリジノン中間体を経由した"double inversion"で反応が進行していることが示唆された。DFT計算による理論計算の結果と実験データは、本反応機構を支持した。
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