研究実績の概要 |
R4年度は(1)細胞照射実験によりヨード造影剤による放射線増感効果を測定した。造影CT検査を再現した低線量被ばくを実測するため、ヨード造影剤を添加した細胞実験を行い, 造影剤による放射線増感効果を評価および(2)低線量生物影響を考慮した線量指標を開発し、その結果から体表面からの水等価厚をパラメータとして, DNA損傷発生の期待値に対する重み付け係数を求める.①~③により生物学的効果を重み付けした線量指標を定義する。以上の項目について取り組んだ。 (1)造影CT検査を再現し、細胞レベルでの低線量被ばくにおけるヨード造影剤の影響を評価した。異なる濃度(0, 2, 20 mgI/mL)のヨード造影剤を添加した培地にV79細胞を播種し、120kV-X線により0, 0.05, 1Gyの線量で細胞照射実験を行った。各群に対し、DNA二本鎖切断を評価点とするため、ガンマーH2AX抗体による免疫染色法を実施した。この結果、照射群においてヨード造影剤によるDNA二本鎖切断の有意な増加が確認された。この際、培地に添加したヨード造影剤濃度が大きいほど、DNA二本鎖切断の増加が大きい結果となった。また、非照射群の結果より、X線を照射しなければヨード造影剤によるDNA二本鎖切断の増加は見られないことから、ヨード造影剤自体にはDNAに対する毒性がないことが示された。 (2)については、細胞実験によるDNA損傷数のデータを充実させていき、数理モデルの開発が進行している。
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