研究実績の概要 |
肩関節MRI、膝関節MRI、仙腸関節MRIの日常診療への組み込みを行なった中でZTEシーケンスの追加撮像を行うことに書面で同意をいただいた肩関節脱臼患者47名を対象として画像解析を行なった。関節窩骨欠損率はCTにて平均12.1%、ZTEにて12.3%、スピアマンの順位相関係数は0.89であった。CTをGold standardとした場合のBony Bankart lesionの感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率、正診率は、ZTEの元画像ではそれぞれ72.2%, 100%, 100%, 78.3%, 86.1%に対して、3D-VR像では44.4%, 100%, 100%, 64.3%, 72.2%と感度、陰性的中率、正診率において低下が見られた。Gold standardであるCTにおいてBony Bankart lesionがあったもので、ZTEの元画像、3D-VR像でそれらが描出できなかった症例の、CT上の骨片のサイズの平均は7.2, 11.0mmであった。以上から、ZTEシーケンスはCT画像の代替技術として概ね良好な成績であるが、小さな骨片を伴う場合には、病変を見逃す可能性があると言える。さらにZTEシーケンスでの3D-VR像作成時には、この傾向が顕著になる。従って、読影の際には3D-VR像だけでなく、元画像を必ず注意深く観察する必要がある。本研究結果を英文雑誌に投稿し採択された。 また、同一患者で行なった膝関節のCTとZTE-MRIの相同性評価を物理評価と主観評価の2つにて行なった。深度画像、点群データ、メッシュ生成の手順で3次元モデルに変換し、CT, ZTE-MRIの物理評価としての類似度評価をAbsolute Angle Distanceを用いて行なった。主観評価については、0-1までの値で類似度評価を行なった。物理評価と主観評価の相関係数は0.360であった。
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