巨視的神経回路の情報動態解析および異常の定量から新規バイオマーカーを得ること、 又、その連携・相互作用を司る機構を明らかにすることを目指し、引き続き安静時fMRI解析法の開発を進めた。①血行動態とblood oxygenation level-dependent(BOLD)信号の関連を詳細を検討するための予備実験として、123I-IMP single-photon emission computed tomography(SPECT)と、arterial spin labeling(ASL)法の計測特性や再現性の検討を行った。またこれに関連して非造影頸部・脳アンギオグラフィー法の開発・評価をこれまでの実験に引き続き進め報告した。続いて脳血管障害のある患者を対象に、②安静時fMRI信号を規定する基本的な計測指標である全脳平均信号成分の時間差、振幅をボクセル毎に算出し、SPECT脳血流計測との計測特性・再現性の比較を行った。結果としては、安静時fMRI計測が再現性の点でやや劣るものの、脳血流計測よりも鋭敏な血行動態異常の指標となることを確認した。また全脳信号成分の時間差・振幅の領域間差の由来が血行動態依存であることを示す②の研究結果に基づき、③安静時fMRIで得られる巨視的神経回路の成因について仮説を立て、これを検証するために公開データ(Human Connectome Project)解析を行った。結果はそれぞれ論文として報告を行っている。
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