研究課題/領域番号 |
21K07722
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
棚邊 哲史 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80743898)
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研究分担者 |
中野 智成 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80885517)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 不確かさ / マージン / MLC位置誤差 / 患者位置誤差 / 強度変調放射線治療 / 定位放射線治療 / 画像誘導放射線治療 / CT値 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、放射線治療計画装置の線量分布に不確かさを加味した線量評価を実現することである。2022年度に行った研究実績の主な概要を以下に示す。 (1)治療計画CT装置のプロセスベースによるCT値の許容限度および介入限度の評価:2020年5月から2021年5月の間、計画CT(SOMATOM Definition AS Open,SIEMENS社製)を用いて,週1回の頻度でCatphan504を撮影した.得られたCT値データを用いてプロセスベース(PMB,2013)にて水以外の各材質のCT値から得られた許容限度および介入限度を決定した。これらの限度値はCT値の適正な管理につながることに加えて、組織吸収線量を求める際の不確かさ評価の基礎になると期待される。 (2)脳定位放射線治療におけるGTV体積と位置誤差が放射線治療計画の線量分布パラメータに及ぼす影響:転移性脳腫瘍に対して4分割SRT(GTV D95%=100%)が行われた56症例を対象としGTV体積と位置誤差が放射線治療計画の線量分布パラメータに及ぼす影響を評価した。GTVが小さいほど位置誤差によるGTV D98%の低下率は大きく,またGTVが大きいほど位置誤差による脳壊死のリスク因子V22.2Gyの増加率は大きくなった.脳SRTにおいて, GTVサイズによって許容される位置誤差は異なり,D98%の低下率5%を許容とする場合には,2 cc未満のGTVに対しては1 mm未満であることを示した。 これらの研究は第12回東北放射線医療技術学術大会にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に沿って研究開発を進めており、予期していた結果が得られていることから、現在までの進捗状況区分は、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は以下の通り研究を行う予定である。 (1)実際に症例の治療計画を用いた「MLC位置誤差」に対する不確かさ評価 新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院との多施設共同研究として研究を推進できるよう準備を進めている。2022年度中に魚沼基幹病院および新潟大学医歯学総合病院の倫理審査委員会に承認されたため、治療計画上にて解析を進める。 (2)汎用リニアックによる患者位置誤差に対する不確かさ評価 TrueBeam(Varian社製)およびSyncTraX FX4システム(島津製作所社製)それぞれの照合装置における臨床データを用いて、患者位置誤差に対する不確かさを評価する。また、後者のシステムは動体追跡放射線治療が可能であるため、動体時の不確かさについても評価する。 最終的に各年度で進めてきた不確かさ評価を治療計画における線量分布に反映させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当初購入予定であった備品に関して、交付金の都合上別の代替購入を余儀なくされたため。 (使用計画)欧文論文に係る英文校正費および掲載費、また国内外での学会発表等に次年度使用額を充てる。
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