研究課題
前回、免疫チェックポイントであるprogrammed cell death ligand 1 (PD-L1)陽性肝細胞癌における造影CTならびにGd-EOB-DTPA造影MRI所見を解析した結果、造影CT動脈相でrim様造影効果または造影低下域を示す頻度が高く、またMRIの拡散強調像におけるapparent diffusion coefficient (ADC)が低値を示すことを報告した。今回はこれらの画像所見が肝細胞癌に対する抗PD-L1抗体を含む薬物療法の治療効果と相関を示すかどうか検討を行った。Atezolizumab+bevacizumab治療が行われた進行肝細胞癌患者119症例を対象とし、治療前の主腫瘍が造影CT動脈相で全体に増強される群と造影不良群とに分類した。またADC=0.00118をカットオフ値としてADC高値群および低値群とに分類した。治療後の病勢制御率および生存率を比較した結果、造影CT動脈相での造影不良群では治療後にPR(部分奏功)またはSD(安定)となる頻度が高く、治療後の無増悪生存期間の延長を示したが、全生存期間の有意差は認められなかった。またADC低値群においても同様に病勢制御率が高く、治療後の無増悪生存期間の延長が確認されたが、全生存期間の有意差は見られなかった。以上より、肝細胞癌における造影CT動脈相での造影不良域およびADC低値は高悪性度を示唆する所見であるが、atezolizumab+bevacizumab療法の治療効果予測に応用できる可能性が示された。
2: おおむね順調に進展している
画像解析および予後解析は予定通りに進んでいる。
VEGFやCTLA-4など、PD-L1以外の薬物療法の標的の発現と画像所見との関連について検討を進める。
昨年度よりweb参加となった学会が複数あり、次年度使用額が生じた。次年度で旅費や物品費として使用する予定である。
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