研究課題/領域番号 |
21K07727
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 稔 京都大学, 生命科学研究科, 特定助教 (40644894)
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研究分担者 |
原田 浩 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (80362531)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | DNA損傷修復 / In vivo imaging |
研究実績の概要 |
DNA二本鎖切断やDNA二本鎖切断修復経路を特異的に検出することが可能なレポーター遺伝子のセットを作成するために、分割ルシフェラーゼと融合するタンパク質の候補を、DNA二本鎖切断発生時に集積するマーカーとして使用されているタンパク質や、各損傷修復経路特異的に集積するタンパク質の中から選出を行った。 上記で選出したそれぞれのタンパク質と分割ルシフェラーゼと融合したタンパク質を作成するにあたり、分割ルシフェラーゼのN末端側とC末端側を、選択したタンパク質のN末端側、C末端側のどちらに結合させるかの組み合わせや、分割ルシフェラーゼとタンパク質の間のリンカーの有無によって、それぞれにおいてどの組み合わせがDNA損傷を誘発する薬剤処理によるルシフェラーゼ活性上昇が最も大きいかを検討した。検討の結果、最も薬剤処理によるルシフェラーゼ活性上昇が大きかったものについて、融合タンパク質を恒常的に発現させるためのレンチウイルスベクターの構築を行った。 上記で構築したレンチウイルスベクターを用いて、融合タンパク質を恒常的に発現する細胞を作出し、同一細胞を用いてDNA損傷を誘発する薬剤の投与や除去によるルシフェラーゼの活性変化を確認した。その結果、それぞれの融合タンパク質を恒常的に発現する細胞において、薬剤投与によるルシフェラーゼの活性上昇、および薬剤除去による上昇した活性がベースラインまで低下することを確認出来たことから、レポーター遺伝子がDNA二本鎖切断および修復活性を特異的に検出可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
分割ルシフェラーゼの系を用いてDNA二本鎖切断やDNA二本鎖切断修復経路を特異的に検出することが可能なレポーター遺伝子構築のための候補遺伝子の選別、およびリンカーなどの条件検討を行い、レポーター遺伝子を構築した。 また、上記レポーター遺伝子を恒常的に発現し、DNA損傷を誘発する薬剤を投与した際の活性上昇や、薬剤を除去した際の活性低下を確認できる細胞を作出した。 現在、レポーター遺伝子を恒常的に発現する細胞をマウスに移植し、腫瘍を作成、腫瘍内におけるDNA損傷および修復活性を測定する準備を進めている。 当初の計画ではレポーター遺伝子の構築までの予定であったが、レポーター遺伝子恒常発現細胞の作成まで完了しており、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、令和3年度に作成した分割ルシフェラーゼの系を用いてDNA二本鎖切断やDNA二本鎖切断修復経路を特異的に検出することが可能なレポーター遺伝子を恒常的に発現する細胞をnudeマウスに移植し、腫瘍を作成する。 作成した腫瘍に対して、抗がん剤などのDNA損傷を誘発する薬剤や放射線の照射によるDNA損傷や損傷修復活性のカイネティクスを解析する。 また、in vitroでは現在DNA損傷を誘導する薬剤を用いて検討を行ってきたので、放射線に対する反応についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が想定よりも順調に進行したことで、使用額が少なく抑えられた。また、コロナ禍のため、学会に参加することが出来ず、旅費の使用がなくなった。 次年度はいくつかの計画を前倒しで実行するとともに、より詳細な検討を行う予定である
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