放射線照射後の遅発性活性酸素がどのように核内におけるDNA損傷応答に関わるのかについて調べた。まず核外のみX線マイクロビームで照射された場合、3Gy照射で生存率の低下が見られたが、遅発性活性酸素をアスコルビン酸誘導体(AA2G)で抑制した場合においても生存率は未処理の場合と変わらなかった。細胞全体照射ではAA2Gによる生存率の上昇が見られたため、遅発性活性酸素は核でヒットした後のDNA損傷を起点とするシグナルを補助的に増幅する役割を担っていることが示唆された。遅発性活性酸素は、核におけるATM-p53シグナルを照射3日後以降でも維持する役割を担い、細胞死、老化誘導に寄与することがわかった。
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