光増感剤(PS)を投与した後、特定の光で照射する光線治療が、革新的ながん治療法として注目されている。PSが光を浴びると一重項酸素が発生し近くの細胞を死滅させる。しかし、光線治療には、PSを励起するための外部光源が必要という制限がある。本研究の目的は、治療用放射性核種から放出されるチェレンコフ放射(CR)がPSを励起する内部光源となり、外部光源を使用せずに相乗的ながん治療効果が期待できることを検討することである。PSが放射性核種由来のCR光によって励起されているかどうかをコスト効率よく同定し、励起されたPSからの蛍光発光を検出することは、依然として課題である。多くの研究室では高価な専用装置が必要である。 IVIS 光イメージング、VISQUE 光イメージングシステム、CMOS cameraなどを用いて、放射性同位元素64Cu、90Yから放出されるCRを確認した。CRで励起される最適な候補のPSを検討した。マイクロプレートリーダーとスペクトロフルオロメーターによるPSの吸光果と蛍光スペクトルの測定、光イメージングシステムによる固有蛍光発光可視化などを行った。結果、モデルPSとしてテトラキス(4-カルボキシフェニル)ポルフィリン(TCPP)、CRを生成するモデル放射性核種として64Cuを選択した。次に、IVIS光イメージングシステムと高透過率ロングパスフィルターセットを適切に組み合わせて、シリアルイメージングとデータ収集を行った。そして、Living Image ソフトウェアによる画像解析とImageJ ソフトウェアによるサブトラクション画像処理を行うことにより、CRで誘起されたPSの蛍光発光スペクトルをシンプルかつ低コストで識別できた。本法は、有効な新PS発見の加速とCR発光イメージング及びCR-介在性光線治療開発に貢献できる。得られた研究成果を国際学会や雑誌に発表した。
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