研究課題/領域番号 |
21K07744
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
三井 哲夫 山形大学, 医学部, 教授 (30270846)
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研究分担者 |
簡野 美弥子 山形大学, 医学部, 助教 (40400551)
大木 健太郎 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児血液・腫瘍研究部, 室長 (50400966)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 難治性リンパ芽球性リンパ腫 / 非ホジキンリンパ腫 / 腫瘍遺伝子解析 |
研究実績の概要 |
小児がん治療は、この20年大きく進歩し、特に血液腫瘍については、2000年代初めに日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)として本邦全体での研究体制が整ったことで、診断・治療・臨床ならびに基礎研究において大きく体制整備が進み、進歩してきた。そうした中リンパ腫各組織型においても標準治療が確立したが、各病型の標準治療に対して再発・難治の例については、その予後は変わらず不良である。非ホジキンリンパ腫の多くを占めるリンパ芽球性リンパ腫進行例では、こうした再発難治例は、10から20%程度にみられる。研究代表の三井は、2015年から「再発・治療抵抗性リンパ芽球性リンパ腫(Lymphoblastic lymphoma、LBL) Stage III/IVに対するDexICE治療の有効性及び安全性を検証する多施設共同第Ⅱ相臨床試験」を国内で立ち上げ臨床試験研究を進めている。稀少疾患である中、2022年春までに18例の登録例を得てそこから得られた臨床検体を中心に遺伝学的基礎解析を分担研究者の大木と共に行っている。 再発、難治であった症例の、すなわちいわゆるイベントがあったリンパ芽球性リンパ腫(T-LBL10例、B-LBL3例)について、全トランスクリプトーム解析と全エクソン解析を行った。結果としてT-LBLの2例でNUP214-ABL1が、1例でPICALM-MLLT10が、1例でJAK2関連融合遺伝子が同定され、他の症例でもアポトーシスや細胞老化、TP53関連の腫瘍抑制遺伝子が関連すると考えられる融合遺伝子が同定されている。6qLOHも4例前後で認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
そもそもが小児がんであり、発症自体が稀少な中、再発・難治例の集積は困難な部分がある。そうした中でも日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)を通じての呼びかけで、2022年春までに18例の集積を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
症例登録は現在 18例で、少しずつは増加しているが、そのペースは必ずしも高いとは言えない。このため、臨床研究共同施設に毎月に1回、登録状況をお知らせするメイルシステムを利用して周知を行ない登録の増加を図っている。また、これ以外にも個別に参加施設に適応例がいた場合の研究協力をお願いする予定としている。参加登録例を増やすことで解析検体数を増加させ、これまでの知見の確認、また新たな知見を見出す努力をしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでに集積した検体試料の解析は、ようやく本格的になってきたところで、まだ全ての解析が終わっていないところがある。また、症例自体の集積ペースが遅い事が影響している。今後、症例集積が進めば、解析検体数は増加すると考えられ、次年度使用でも可能と考えられる。
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