研究課題/領域番号 |
21K07753
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
小林 弘典 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (70397868)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | LC-MS/MS / 極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症 / 中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症 / 酵素活性測定 / 新生児マススクリーニング |
研究実績の概要 |
本年度はLC-MS/MSを用いた酵素活性測定系に関する検討を行った.VLCADの酵素活性を測定するためにC16-CoA, C16:1-CoA, C16:1-OH-CoA, C8-CoA, C8:1-CoA, C8:1-OH-CoA,内部標準にはC16-CoAおよびC8-CoAの安定同位体を用い, それらの物質を測定するための最適化,カラムの選定を行った. また,新生児マススクリーニングで発見された新規遺伝子変異を評価するための細胞アッセイ系については,より安定的に酵素活性値を評価することを目的として,当初予定していた重症VLCAD欠損症患者の培養皮膚線維芽細胞を用いる計画から変更し,新しく酵素活性を評価するための細胞アッセイ系を作成することにした. 我々はHEK293細胞を用い, ゲノム編集を用いてVLCADおよびMCADの酵素活性を失活させたのち,任意の変異を挿入したVLCAD変異体プラスミドを用いてトランスフェクションする計画を立てた.本年度はHEK293細胞のVLCAD,MCAD発現の程度を評価し,いずれの酵素についても発現している事を確認した.また,次年度以降に予定している, 新生児マススクリーニングで新しく発見されるようになったVLCAD欠損症およびMCAD欠損症における機能解析が行われていない変異の解析に向けての基礎的な準備および検討を概ね終了し,変異体プラスミドのデザインも終了した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LC-MS/MSによる酵素活性測定の系が確立出来た.細胞の選定や基礎的評価についても概ね順調であり,次年度でVLCAD欠損症については新規遺伝子変異の酵素活性測定が可能と考えている.
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度では,まずVLCAD欠損症の新生児マススクリーニングで同定されるようになったp.C607S変異を中心に検討をすすめる. VLCADおよびMCADの両酵素をゲノム編集で落としたHEK293細胞に対して,同変異を導入したVLCAD変異体プラスミドをエレクトロポレーションによってトランスフェクションしたのち,C16-CoA, 内部標準を加えた後に37℃でインキュベートする.反応上清中のC16-CoA, C16:1-CoAを測定することで酵素活性を測定する.他の変異についても同様の検討を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費等の支出が予定よりも少なかったこと,LC-MS/MSの最適化が予定よりもスムースに進行したため,当初の予定よりも支出が少なかった.次年度以降は変異体プラスミドのトランスフェクション実験は予定よりも支出が増える可能性があるため,その資金に回す予定である.
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