研究課題/領域番号 |
21K07759
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
今村 俊彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30444996)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 白血病 / Ph-like ALL / チロシンキナーゼ / レトロウイルス |
研究実績の概要 |
2021年度に以下の点について明らかにした。(1)Ph-like ALL患者から同定したSPAG9-JAK2融合遺伝子の機能を解析し、本融合遺伝子がSTAT1の恒常的リン酸化を誘導し、STAT1がBCL2やMCL-1の発現を増強する事を明らかにした。この結果をふまえ、本融合遺伝子を発現するBa/F3細胞に対して、BCL2/MCL1阻害剤がJAK2阻害剤と相乗的に作用する事を明らかにし、論文を投稿中である。(2)Ph-like ALL患者から同定したETV6-FRK融合遺伝子の機能を解析し、本融合遺伝子がFRKの恒常的リン酸化を介して、STAT1/STAT3/STAT5の恒常的リン酸化を誘導し、Ba/F3細胞のIL-3非依存性増殖を誘導する事を明らかにした。これらの結果をふまえ、Dasatinibが本融合遺伝子陽性のBa/F3細胞の増殖を抑制する事を、in vitroおよびin vivoで証明した。本研究内容については、論文を準備中である。(3)難治性AMLと関連するNUP98-NSD1融合遺伝子の機能を解析し、NUP98-NSD1が導入した32D細胞のIL-3受容体α(CD123)の発現増加に係わる事を明らかにした。また、小児AMLの臨床検体のCD123遺伝子の発現量を解析した結果、NUP98-NSD1陽性AMLでは、陰性のAMLに比較して、CD123の発現が増加している事を明らかにした。これらの結果を踏まえると、D123は本融合遺伝子陽性のAMLの治療標的になりえる事を明らかにした。本研究成果についても論文作成中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SPAG9-JAK2, ETV6-FRK, NUP98-NSD1について機能解析を終了し、概ね順調に研究計画を遂行できていると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度の成果について論文の完成を目指す。また、難治性AMLに関連するFUS-ERG融合遺伝子の機能解析も進めていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度消耗品購入に充填する。
|