研究課題/領域番号 |
21K07765
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
加藤 愛章 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (90635608)
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研究分担者 |
吉松 淳 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (20221674)
大野 聖子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (20610025)
坂口 平馬 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (70574630)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | QT延長症候群 / 胎児診断 / 心磁図 / 胎児心エコー |
研究実績の概要 |
2011年1月~2021年12月の期間に当センターで胎児心磁図検査を施行した母体QT延長症候群の胎児28例について検討した。母体LQT1は15例、LQT2は3例、LQT3は1例、LQT7は1例、未同定は8例であった。胎児心磁図でQTc(Bazett補正)480ms以上であったのは5例(17%)で、出生後の最初の心電図でQTc(Bazett補正)480 ms以上であったのは8例(29%)であった。今回の検討では、胎児期に心室頻拍を呈した症例はなく、明らかな徐脈を呈したのはLQT1の胎児1例のみで、胎児治療は行わなかった。変異が同定されていた18例の母体から出生した児で生後に遺伝子検査を施行したが、7例は陰性で、11例で母体と同一の変異を認めた。陰性の症例の1例で胎児心磁図でQT延長を認めたが、他の全例で胎児心磁図および生後の心電図でQT延長は認めなかった。胎児心磁図でのQT延長による遺伝子変異の有無の予測の感度は18%、特異度は86%、陽性的中率は67%であった。遺伝子変異を有するQT延長症候群でも、胎児~新生児期には必ずしもQT延長を来さないために感度が低いと考えられた。 現在、心磁図以外での胎児診断のモダリティとして、①心エコーを用いた診断、②母体血中のcell-free fetal DNAを用いた遺伝子診断のための基礎的な研究を行う準備を進めている。胎児心磁図でのQT間隔と、胎児心エコーの各パラメータの変化との関連を検討する計画だが、施設内の倫理審査を受審中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予備的な検討として、QT延長症候群が疑われる胎児に対して行われた心エコー検査の内容を見直したが、算出される各パラメータが使用するエコー機種によって異なり、また想定していた以上に検者間の格差が大きいため、検査方法を再検討する必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
植込み型除細動器を植込みされている母体については心磁図検査を施行できず、胎児の電気的活動と、胎児心エコーで捉えられる機械的な活動の関連が検討できていない。重症な経過が想定される胎児の母体ほど、植込み型除細動器が導入されていることが多い。現在、胎児心磁図以外にも、胎児心電図の機器も臨床利用ができるようになっている。胎児心電図も併用しながら、胎児のQT間隔を測定できれば、より多くの症例で検討できる可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19流行により学会がWeb開催となったため、学会への参加は可能であったが、想定以上に旅費を使用する必要がなかったため。
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