研究課題/領域番号 |
21K07772
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高桑 徹也 京都大学, 医学研究科, 教授 (40244933)
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研究分担者 |
今井 宏彦 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40506466)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脳神経ネットワーク / MRI / 拡散強調画像 / ヒト胎児 |
研究実績の概要 |
脳の機能と病態を理解するためにヒトの脳では、様々なタスクに伴う脳の活動領域を観察する脳の機能的なマッピングや、脳全体を視野にいれた巨視的なコネクトームが関心を持たれている。機能的解析にはfMRI, PET, 脳波等が用いられるのに対して、形態学的な解析は拡散強調MRI画像(DT-MRI)が中心的な役割を担っている。DT-MRIとは、神経線維走行の方向により水分子の拡散のしやすさが異なること(拡散異方性)を利用した画像描出、解析法である。脳神経ネットワーク形成はヒトの高次脳機能の形成基盤であり、その発生過程を知ることは、脳の働きや神経ネットワークの構造と機能の深い理解のために必要である。その形成過程を知るために、島根大学が保存している妊娠第1三半期胎児標本(CRL33.5-93.7 mm)を対象として、7T-MRIを用いて高解像T1強調画像、拡散強調画像(DTI)を取得する。現在、別の対象個体であるが、経時的な脳の解剖学的構造の形成過程をT1強調画像で解析した。また、小脳の形成についても解析を開始した。数体の対象について、T1強調像、DTI撮像をおこなり条件設定等の検討をしている。DTIの信号が想定よりも弱く、条件設定を繰り返している。得られた知見は、ヒトの高次脳機能形成の理解に加え、様々な疾患の理解の基礎データにもなり、将来的にはこれらの疾患の客観的な診断、治療への活用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象となる島根大学が保存している妊娠第1三半期胎児標本(CRL33.5-93.7 mm)を借り、7T-MRIを用いて高解像T1強調画像、拡散強調画像(DTI)を数体取得した。高解像度のT1強調像は取得できたが、DTIの信号が脳において十分に得ることができずにいる。DTI解析ソフトの種類の検討、条件設定の検討等を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
胎児標本の条件の変更(ホルマリンを除去する、造影剤を検討する)等を検討するが、標本の損傷等の懸念があり慎重に行う。脳神経系について当面DTIを使わず、T1強調像を用いた解析を進める。また、脳神経系にこだわらず、全身の他の部位のDTIの情報についての解析も視野にいれ検討をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症等で旅費の使用、人件費の使用が予定より大幅に減少した。MRI撮像を積極的に行う予定であったが、DTIの信号が予想より弱いため、慎重に条件検討をしている。次年度は、MRI撮像、解析のための謝金等で研究費を使用する予定でいる。
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