研究課題
ロタウイルスワクチンの重症予防効果は約90%で、わが国には2011年に導入され、2020年10月の定期接種化に伴い、サーベイランスの社会的な重要性は更に増大した。ロタウイルスワクチンは有効性、安全性、選択圧の評価などが必須であるが、我々の研究により、現状の国内の胃腸炎サーベイランスでは正確な評価が困難である事が判明した。本研究では、北海道の22研究協力施設(小児・成人)と自治体における①ロタウイルス胃腸炎の入院数・臨床像、②ロタウイルス遺伝子型、③初回接種週数・接種率、④腸重積症の入院数・臨床像・原因ウイルスの解析により、1)ロタウイルスワクチンの有効性の評価(導入前後・定期接種化前後の入院数や合併症の推移)、2)安全性の担保(初回接種週数と腸重積症の推移)、3)選択圧の検討(流行株の遺伝子解析)、4)迅速診断の精度を評価し、今後のサーベイランスのあり方、特にワクチン評価法の提案とロタウイルスの生活環の解明に迫る。本年度の解析では、①ロタウイルス胃腸炎の入院数は、2020年が11例、2021年が0例であり、新型コロナウイルス感染症による学校閉鎖(2020年3月-5月)後に著明に減少していた。②ロタウイルス遺伝子型(入院)は、2019年は49株で、G9P[8]が23株、G1P[8]が10株、G8P[8]が9株、G2P[4]が3株、ウマ様G3P[8]が2株、その他が2株であった。2020年は1株でG1P[8]であった。
2: おおむね順調に進展している
2020年の新型コロナウイルス流行後より、ロタウイルス胃腸炎は激減したが、2020年・2021年の入院全数と、2019年・2020年のロタウイルス遺伝子型を解析できたため。
2022年度は、①ロタウイルス胃腸炎の入院数・臨床像、②ロタウイルス遺伝子型の解析を継続する。2023年度は、上記①②に加えて、③初回接種週数・接種率、④腸重積症の入院数・臨床像・原因ウイルスの解析を行うことにより、2020年10月のロタウイルスワクチン定期接種化後の影響について検討を行う。
新型コロナウイルス感染症流行後より、ロタウイルス胃腸炎患者数が激減し、それに伴い遺伝子解析を行う便検体数も著明に減少したため。2022年度は過去の便検体の解析遺伝子領域を広げるとともに、遺伝子解析ソフトの更新を行う予定。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件)
J Gen Virol
巻: 102 ページ: Epub
10.1099/jgv.0.001548
10.1099/jgv.0.001581
J Infect Chemother
巻: 27 ページ: 1639-1647
10.1016/j.jiac.2021.07.024
巻: 27 ページ: 940-948
10.1016/j.jiac.2021.04.002