研究課題
昨年のSLE症例に加えて、周期性発熱や炎症性腸疾患、自己免疫性疾患などを合併したRelA異常症の5家系6症例を新たに同定した。また、このRELA遺伝子変異が優性阻害効果を示すこと、さらには、6人の患者の全血から抽出したRNAを用いてqPCRを施行し、IFN signatureの検討を施行したところすべての患者においてType1 IFNの亢進が認められた。本年度は、この現象を詳細に解析するために、患者白血球を用いてシングルセルRNAシークエンス解析を行った。その結果、患者の骨髄系樹状細胞(mDC)と形質細胞様樹状細胞(pDC)において、TLR7の遺伝子発現が上昇していることが判明した。一方で、リンパ球や骨髄球細胞では、IRF7やMyD88の遺伝子発現の上昇が認めらた。IRF7はI型インターフェロン産生に必要な分子で、NFκB経路により制御されることが知られている。そのため優性阻害効果を持つRelA変異タンパク質が、TLR7やIRF7遺伝子の発現を強く誘導することでI型インターフェロンの亢進をきたすと考えられた。これらの結果をもとに、論文はすでに投稿しており、レビュアーのコメントを待っている状態である。これまでの研究成果は、学会発表(日本自己炎症・免疫不全症学会2022)を行い、患者検体のリクルートを継続している。最近新たに2家系2症例の紹介を受けており、そちらも同様に解析を継続していく。
2: おおむね順調に進展している
シングルセルRNA解析により、新たなメカニズムの解明をすることができた。さらには、学会で昨年発表したこともあり、新規症例の紹介があった。
新規症例の紹介があり、解析を継続する。また、論文はすでに投稿しており、レビュアーのコメントを待っている状態である。患者iPS細胞由来の樹状細胞を用いた解析が必要と考えており、1人の患者由来のiPS細胞はすでに樹立しているため、サイトカイン測定を含めた解析を行う。
初年度に購入した試薬などで実験が可能であったため。2023年度は追加解析が必要であるため、新たに実験試薬を購入予定である。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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