研究課題/領域番号 |
21K07796
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
遠藤 誠之 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30644794)
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研究分担者 |
藤井 誠 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (10803760)
玉井 克人 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (20236730)
新保 敬史 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (70780609)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 気管支肺異形成症 / 治療 / 幹細胞 / 再生誘導 |
研究実績の概要 |
早産児の主な死亡原因である気管支肺異形成症(以下BPD)に対して、幹細胞治療がその予防や治療法として期待されている。しかし、幹細胞移植はその移植する細胞供給の不安定さが課題である。我々は、幹細胞を外部から移植するのではなく、血中に自己骨髄由来間葉系幹細胞を動員させる作用を持つペプチド医薬(HMGB1ペプチド)に着目し、様々な疾患に対してその治療効果について検討している。 本研究の目的は、ペプチド医薬(HMGB1ペプチド)を、新生仔BPDモデルに投与することで、肺の形態および肺機能が改善することを証明することである。初年度は、研究項目①「新生仔BPDモデルの作製と評価日の適正化」、②「新生仔BPDモデルへのHMGB1ペプチド投与による肺の形態的、炎症、肺高血圧による心肥大・肺動脈リモデリングの評価」を行った。 ①新生仔BPDモデルは、C57BL6マウスを用いて、複数条件を検討した結果、出生後直後から14日間、高濃度酸素曝露90%で飼育するモデルを採用することとした。治療効果の評価日は、高濃度酸素曝露の終了時点の生後14日目とした。 ②室内気で飼育したコントロール群では、生存率100%であるのに対して、新生仔BPDモデルの生存率は75%であった。また、体重もコントロール群と比較して、新生仔BPDモデルの体重は有意に低下した。さらに、肺組織の線維化について可溶性コラーゲンを定量的に評価し、新生仔BPDモデルで有意に増加していた。 ③新生仔BPDモデルに、生理食塩水を投与した群、HMGB1ペプチドを投与した群、そして室内気で飼育して生理食塩水を投与したShamコントロール群の3群で実験を進めた。HMGB1投与群において、生存率に有意差はなかったが、体重増加、組織学的な肺胞形態の改善を認めた。HMGB1投与群において、炎症細胞の肺胞への誘導が抑制されていた。さらに抗線維化効果も示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①新生仔BPDモデルの作製と評価日の適正化が達成できた。 ②HMGB1ペプチドの治療効果評価実験が開始できている。 ③HMGB1ペプチドの治療効果を、組織学的変化、免疫細胞の動態変化、遺伝学的変化で評価できている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の研究進捗状況を踏まえ、研究項目②「新生仔BPDモデル動物へのHMGB1ペプチド投与による肺の形態、炎症、肺高血圧による心肥大・肺動脈リモデリングの評価」でHMGB1ペプチドの効果の機序についての検討を進め、さらに研究項目③「新生仔BPDモデルへのHMGB1ペプチド投与による肺の機能的評価」を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
残高9619円の為、次年度の試薬購入に充当する。
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