研究課題/領域番号 |
21K07796
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
遠藤 誠之 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30644794)
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研究分担者 |
藤井 誠 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授(常勤) (10803760)
玉井 克人 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教授 (20236730)
新保 敬史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授(常勤) (70780609)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 気管支肺異形成症 / 治療 / 幹細胞 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、BPDモデル新生仔動物に対してHMGB1ペプチドの効果を証明し、本邦での臨床試験へつなげることである。 初年度では、C57BL6マウスを90%高濃度酸素に14日間曝露することで、新生仔BPDモデルを作製した。新生仔BPDモデルに生理食塩水を静脈投与した群(O2+NS)、HMGB1ペプチドを静脈投与した群(O2+ HMGB1)、室内気で飼育して生理食塩水を静脈投与した群(RA+NS)の3群を作製し、HMGB1ペプチドの効果を検討した。O2+NSでは、RA+NSと比較して、有意に生存率・体重低下し、肺胞形態の破壊を認めた。 O2+ HMGB1では、O2+NSと比較して生存率に有意差はなかったが、体重増加、肺胞形態の改善を認めた。 次年度では、HMGB1ペプチドによる抗炎症作用と抗線維化作用を検討した。O2+NSでは、RA+NSと比較して、肺組織内の炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6)と可溶性コラーゲンが有意に上昇したが、O2+ HMGB1では、O2+NSと比較して、それらは有意に低下した。 最終年度では、HMGB1ペプチドの作用機序を解明するために、肺組織のシングルセルRNA-seq解析を実施した。O2+NSでは、RA+NSと比較して好中球、単球、マクロファージを含む炎症細胞の数が増加する事がわかった。O2+ HMGB1では、O2+NSと比較して、これらの細胞は減少した。また、マクロファージクラスターで最も多くの発現変動遺伝子を認め、Gene Ontology解析では、発現変動遺伝子がIL-1 signaling pathwayにenrichすることがわかった。さらに、筋線維芽細胞クラスターのGene Ontology解析では、肺線維化に関連する遺伝子発現パターンにenrichし、Sox9の遺伝子発現がO2+NSと比較して、O2+ HMGB1で発現低下していた。
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