ビタミンB6(VB6)依存性てんかんは治療可能な稀少疾患であり、主に新生児期に発病する。通常の臨床検査では異常が乏しく、年長での発病やVB6がすぐ効かない非典型例があるため、早期診断が難しい。原疾患は4つあり、大部分では診断バイオマーカーが見つかっているが、測定可能な施設は世界的に少ない。そのため、VB6依存性てんかんの早期診断への制約が大きい状況が依然として続いている。また、最近発見された原疾患であるピリドキサールリン酸結合タンパク(PLPBP)欠損症では、診断バイオマーカーが見つかっていない。本研究では、VB6依存性てんかんの早期診断体制の基盤構築のため、測定可能な診断バイオマーカーの追加、遺伝子・酵素診断の手法の整備、バイオマーカーが未発見のPLPBP欠損症におけるバイオマーカー探索を試みた。その成果として、既存のVB6測定系の拡張を行い、分析条件をほぼ決定できた。現在、バリデーションを行っているところである。ピリドキシン依存性てんかん(ALDH7A1欠損症)のバイオマーカーに関しては分析条件が確定したが、高プロリン血症II型については未確定である。遺伝子診断の体制は問題なく整えることができた。酵素活性測定に関しては、ALDH7A1欠損症についての測定条件の設定がほぼ整った。乾燥ろ紙血上のバイオマーカーの安定性は充分評価できていない。メタボローム解析用のPLPBP欠損症患者の臨床検体は、目下収集中である。
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