研究課題/領域番号 |
21K07800
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
三嶋 博之 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (10513319)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 希少疾患 / 診断支援 / 3次元 / 機械学習 / ダウン症候群 / 顔貌 |
研究実績の概要 |
臨床診断が難しい先天形態異常症候群の確定診断には、遺伝型情報と臨床遺伝専門医による表現型の記述、とくに大きな手がかりとなる顔貌特徴との統合が重要である。研究代表者は、2次元顔貌解析技術 Face2Gene が本邦症例でもすでに高い性能を持つが、極めてまれな症候群の診断補助には能力不足であることを報告した。本研究の目的は、研究代表者の仮説である「3 次元顔貌画像が持つ情報量と線形的な情報特性を活かせば、学習症例数が制限された極めてまれな遺伝症候群においても診断補助の限界克服が可能である」ことの実証である。そのために本研究は、(1)研究代表者がすでに導入済みの3次元カメラを用いた日本人3次元顔貌データ収集と、(2)顔貌計測値の定義詳細まで含めた情報共有のための基盤技術の確立、(3)顔貌計測値と3次元曲面形状の機械学習による診断補助技術の開発を行う。この研究の成果は、今後さらに規模を拡大した国内の3次元顔貌情報の収集と共有、あるいは国際的な情報共有による超希少疾患の診断能力の向上へむけた先駆けとなるものである。 これらをふまえ、初年度の研究実施計画として、(A)患者および健常ボランティアからの3次元顔貌データと臨床情報の収集/本邦における先天性遺伝疾患患者およびコントロール群からの独自データ収集、(B)複数の定義が混在する顔貌計測点と顔貌測定値を考慮したデータ表現を確立することとした。(A)については概ね順調に独自のデータ収集をすすめることができている。(B)については、既存のデータ表現の調査と限界についての考察をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究実施計画として、(A)患者および健常ボランティアからの3次元顔貌データと臨床情報の収集/本邦における先天性遺伝疾患患者およびコントロール群からの独自データ収集、(B)複数の定義が混在する顔貌計測点と顔貌測定値を考慮したデータ表現を確立することとした。(A)については、疾患群33症例、コントロール群7名の収集を終えている。(B)については、既存のデータ表現の調査と限界についての考察をすすめている。
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今後の研究の推進方策 |
患者および健常ボランティアからの3次元顔貌データと臨床情報の収集をさらに継続する。また、データ解析を開始する基本的な収集サンプル数に達したことから、統計的データ解析を進める。複数の定義が混在する顔貌計測点と顔貌測定値を考慮したデータ表現を確立については、海外の研究者とも連絡を取り合い、改善点を提案してゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた計算サーバー新規導入は、既存のシステムの改修によって初年度のデータ計算需要をまかなえる見通しとなったため見送った。旅費は参加予定の学術集会のオンライン開催への変更に伴い使用しなかった。次年度は、データ解析のための計算需要に必要な性能のサーバーを購入する予定、又はクラウドサーバーの使用費として使用するつもりである。
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