研究課題/領域番号 |
21K07801
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
金城 紀子 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70253987)
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研究分担者 |
浜田 聡 琉球大学, 病院, 助教 (00510083)
中西 浩一 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50336880)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 小児期発症原発性シェーグレン症候群 / CD38 / 長寿命細胞 / 小児期発症リウマチ性疾患 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,小児期発症原発性シェーグレン症侯群は,成人と比較して乾繰症状が乏しいことから診断が困難な事が多い。一方,臓器病変の進行によって診断に至ることがある事から,その難治性病態に対して,末梢単核球のCD38陽性細胞が関与しているかを明らかにする事が目的である。 2022年1月26日「琉球大学人を対象とする生命科学・医学系研究倫理審査委員会」の承認を得て,対象患者と親権者へ研究説明を行い,研究への参加および血液検体の採取について同意を得たあと研究を開始している。患者血液検体から末梢血単核球を分離し,検体を-80℃で凍結保存し,検体を集めている。研究計画に沿って,小児期発症の原発性シェーグレン症候群患者を中心に,発症早期と経時的に血液採取を行い,その変化について検討を行う。測定項目は,細胞表面マーカー(CD19, CD20, CD21, CD27, CD38, CD138)を中心に,B細胞のサブセットの解析を行っている。CD38陽性細胞の中でも,長寿命細胞の関与を示すCD138についても検討する予定である。さらに,小児期発症の自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス,若年性皮膚筋炎など)についても,同様の検討を行うために検体を凍結保存している。組織における細胞表面マーカーの検討については,発症時に診断目的で口唇生検を施行した症例について,検討を行う予定である。末梢血単核球と組織内の細胞の特徴について,各々の特徴について検討する予定である。血清学的に各病期におけるサイトカインやケモカインの上昇の有無や特徴を検討し,慢性炎症とその進展状況にどのように関与するか検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って,FACS解析による細胞表面マーカーによる細胞解析の実験系を構築した。細胞表面マーカーとしては,特にB細胞サブセットを中心に,CD19, CD20, CD21, CD38, CD138を測定し,形質細胞に分化過程において,長寿命細胞と疾患活動性との関連を確認する。 対象は,小児期発症原発性シェーグレン症候群を中心に,経時的に血液検査を採取し末梢単核球を分離し-80℃で保存している。 さらに,その他の小児期発症リウマチ性疾患(全身性エリテマトーデス,若年性皮膚筋炎など)についても,血液検体を保存し,シェーグレン症候群と比較する予定であり,血液検体を集めている段階である。 組織内に浸潤している細胞の解析については,発症時に診断目的で口唇生検を施行した例に限られるため,現在は施行できていない。 各病期におけるサイトカイン・ケモカインの関与については,今後検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.対象患者の検体を経時的に採取し,発症時と経過中の検討を行う。 2.初発時の検体が重要であり,治療介入前の検体について,末梢血単核球と唾液腺組織を採取する。 3.FACS解析を用いて,B細胞以外の免疫細胞の検討も各細胞表面マーカーを用いて特徴を検討する。 4.さらに,唾液腺組織中の細胞の特徴についてもFACS解析を用いて検討する。 5.病勢とサイトカイン・ケモカインの関連性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は,FACS解析による実験系に必要な試薬と物品に予算を執行した。その後,倫理委員会の承認後に対象患者から血液検体を採取する事が可能となり凍結保存することに集約した。そのため,実際の測定は少数であり,試薬にかかる費用が予定よりも少なくなっている。 令和4年度は,さらに検体を集約し,集まった検体を用いて,網羅的にCD38をはじめ種々の細胞解析をFACS解析を用いて行う。さらに,サイトカイン・ケモカインの測定を行うため,令和3年度よりも検体を用いた測定系が稼動し,各々に用いる試薬が令和3年度よりも必要になると考えている。 サイトカイン・ケモカイン測定をMultiplex Immunoassaysについて,多くの必要な物品が必要であり,その費用にあてる予定である。 現在のところ,研究計画からの大きな逸脱はなく,予定外の使用計画はないと考える。
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