研究課題/領域番号 |
21K07806
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
東海林 宏道 順天堂大学, 大学院医学研究科, 先任准教授 (30365621)
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研究分担者 |
清水 俊明 順天堂大学, 医学部, 教授 (30260889)
村野 弥生 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (80771922)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 胎児発育不全 / インスリン抵抗性 / レニンアンギオテンシンアルドステロン系 |
研究実績の概要 |
【方法】①動物実験:妊娠SDラットに、蛋白量を7%に制限した餌を妊娠期間に摂取させ、蛋白制限胎児発育不全(FGR)モデルを作成した。対照群には蛋白量20%の通常餌を与えた。出生した仔ラットに対して、生後8週、12週にOGTTとインスリン負荷試験を行った。また、生後12週に解剖を行い、下肢骨格筋(ヒラメ筋、腓腹筋、足底筋)を摘出してインスリンシグナル因子(PI3K、 AKT2、 GLUT4)およびRAAS系因子(AGTR1a、AGT、ACE)の発現についてWestern blot解析を行い両群間で比較検討した。②臨床研究:本邦における胎児発育不全の現状と推移を明らかにするため、出生届のデータを利用して1992年から2018年に出生した単胎児を対象として出生体重z-scoreの平均値の年次推移を解析した。また、出生体重の10パーセンタイル未満をFGR児と定義して、FGRの出生割合について年次推移を解析した。 【結果】①動物実験:FGR群の平均出生体重は対照群に比べて有意(p< 0.01)に小さく、FGRラットの作成に成功した。生後8週と12週のOGTTとインスリン負荷試験では、FGR群においてインスリン抵抗性を示した。下肢骨格筋のWestern blot解析では、FGR群の足底筋においてインスリンシグナル因子のうちGLUT4とAKT2の発現量が有意に低下していた。一方、RAAS系因子の発現は、いずれの下肢骨格筋において差を認めなかった。②臨床研究:1992年より低下していた出生体重の平均z-scoreは、2007年に最低値を記録したのちに上昇に転じていた。出生体重2,500g未満の低出生体重児の割合が2005年頃より一定の数値を示す一方で、FGRの割合は2005年をピークに減少に転じていたことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験において、FGRモデルが安定して作成できておらず、仮説に基づいた結果が得られていない。RAAS系についての臨床研究が実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
ラットを用いた動物実験について、安定した結果が得られるよう検証しつつ検討を進める。 引き続き肝臓と骨格筋におけるRAAS系の評価を行う。RAAS系についての臨床研究計画を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンギオテンシノーゲン、アンギオテンシンのELISAキットを測定し、ラットモデルや臨床検体の血中および尿中の濃度を測定する。
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