研究課題/領域番号 |
21K07809
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
植田 高弘 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20322505)
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研究分担者 |
大橋 隆治 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00328783)
深澤 隆治 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80277566)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 川崎病 / 間葉系幹細胞 / 細胞療法 |
研究実績の概要 |
近年腸炎症性疾患や造血幹細胞移植に伴う重症移植片対宿主病の治療などに、骨髄由来間葉系幹細胞を用いた細胞療法の有効性か示された。さらに脂肪組織にはより多くの間葉系幹細胞を含み、増殖も速く抗炎症・組織修復作用も高いため注目されている。一方炎症疾患である川崎病は年間1万人以上の新規発症があり時に冠動脈炎・瘤を伴う全身性の血管炎を主体とする疾患である。瘤が形成されると約半数の症例は残存し、QOLを低下させ時に心筋梗塞死亡例も生み出している。治療不応例で瘤への進展が阻止できない症例や、発生した冠動脈瘤に直接作用する治療法はない。本研究は重症川崎病モデルマウスを用いて、重症難治性川崎病に対するヒト脂肪由来間葉系幹細胞を用いた細胞療法という新規治療開発を目指した研究である。当該年度では、1:DBA/2 マウスにCAWSを5日間腹腔投与することでほぼ100%大動脈起始部に強い血管炎を生じるモデルマウスの作成に成功した。これによって安定的にモデルマウスを作成することができている。2:購入したヒトADSCを順調に継体培養することができ移植に必要な十分量のADSCを保存することができた。3:血管炎モデルマウスにADSC投与後(コントロールとしてPBS投与群作成)、血清サイトカインをday 15,29 それ以降と継時的に解析・比較することによりADSCの抗炎症効果を明らかにするために15匹のマウスの血清サイトカインを経時的に採取でき保存している。4:現在8匹程度のモデルマウスにADSC投与し、4 週後の心臓・冠動脈組織を固定、パラフィン切片化しHE 染色にて血管炎の程度を評価する準備を進めている。冠動脈周囲の炎症面積・浸潤細胞・血管内皮細胞障害・拡大する冠動脈径の比較をおこないADSCの影響を明らかにする予定である。 以上のように実験は順調に進められており解析検体も収集できている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID感染症の影響で研究にとれる時間や手順に見直しが必要となり少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は現在すでに収集されている検体を用いて血清サイトカインの測定と、冠動脈部位の病理標本を作製してADSCの効果の検討を行う。また、さらにNを増やして検体を取集することと、長期生存率の差を見るための実験を施行する。また、ADSCの投与時期による冠動脈瘤のremodelingを病理学的に検討する。CAWS投与後直後と冠動脈炎・瘤が形成された後にADSCを投与しその後の冠動脈周囲の炎症面積・浸潤細胞・血管内皮細胞障害・拡大する冠動脈径の比較をおこないADSCの影響を明らかにする。また免疫染色等を用いて炎症部位へのヒトADSCの生着の有無・形態について検討する。一度形成された動脈炎・瘤の退縮効果を検討する。 さらに、ADSC投与群と非投与群において、遺伝子発現に違いがあるかを検討する。コントロール群(CAWS投与群+PBS)とADSCを投与した群とで、血管炎をきたしている大動脈起始部組織を採取し、発現遺伝子のプロファイリングの比較を行い関連分子の同定をする。遺伝子発現の差異を認めた遺伝子群についてはLife technologies 社のQuantStudioTM 3DデジタルPCRシステムを用いて定量解析を行い、本研究に期待されているヒト脂肪由来間葉系幹細胞を用いた新たな治療方法の開発に挑戦する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID感染症流行のため研究時間の確保や手順に遅れが出ています。そのため次年度への繰越金が発生しています。今後は加速的に研究ができる見込みである。
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