研究課題
自然終息性乳児てんかんが疑われる症例の解析では、7例にPRRT2バリアントを認め原因遺伝子と推定された。PRRT2バリアントを認めない症例について次世代シーケンサーで全エクソーム解析を施行し、現在までに2つの遺伝子について新規のてんかん原性遺伝子の可能性があることが判明した。そのうち1つの遺伝子は複数の家系に関与しており、その病原性について解析を進めている。PRRT2バリアントの有無によって発作予後には大きな相違はないが、PRRT2バリアントを認めない症例では年長児になっても発作が残存する例や知的能力症・神経発達症を認める症例が散見される点で、PRRT2バリアントを認める症例とは相違があった。発熱感受性を示しDravet症候群およびその近縁疾患が疑われる症例の解析では、5例にSCN1A遺伝子の病的なバリアントを認め、臨床症状と合わせてDravet症候群と診断した。これらの症例は全て顕著な発熱過敏性と多彩な発作を認め、抗発作薬による治療にもかかわらず発作が持続していた。1例はSTXBP1遺伝子に病的バリアントを認めた。この症例では家族の希望で抗発作薬を中止しケトン食による治療を行っているが、比較的発作コントロールは良好である。これらの遺伝子にバリアントを認めない症例についてさらなる解析を続けている。新生児期~乳児期発症の発達性およびてんかん性脳症の症例に対し、全エクソーム解析を施行し、KCNT1、TBCD1、SCN2A、CLTCなど様々な遺伝子バリアントを同定した。いずれの症例も著しい治療抵抗性の重篤なてんかん発作と重度の発達遅滞を呈した。このような重症症例における遺伝子解析の意義が確認された。
3: やや遅れている
コロナウイルス感染症の流行により、様々な研究時間する情報の取得が困難になったこと、多施設との連携に困難が生じたことなどのため、研究の進捗に支障が生じた。
今年度は新たな症例の遺伝学的解析を進めるとともに、前年度に得られた症例についてさらに解析を進める。特に、PRRT2バリアントを認めない良性乳児てんかん、SCN1A遺伝子バリアントを認めない発熱感受性てんかんの新たな候補遺伝子については、その病的意義を解明することを試みる。
コロナウイルス感染症の流行の影響で研究の進捗が遅れたため
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