• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

乳児期発症てんかんの遺伝学的解析に基づく精密医療の基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K07810
研究機関愛知医科大学

研究代表者

奥村 彰久  愛知医科大学, 医学部, 教授 (60303624)

研究分担者 倉橋 宏和  愛知医科大学, 医学部, 講師 (30621817)
東 慶輝  愛知医科大学, 医学部, 講師 (60628593)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード乳児てんかん / 遺伝子解析 / 精密医療
研究実績の概要

2歳未満発症のてんかんのうち1)自然終息性乳児てんかんが疑われる症例、2)発熱感受性を示しDravet症候群およびその近縁疾患が疑われる症例、3)発達性およびてんかん性脳症(DEE)が疑われる症例について、解析を継続している。自然終息性乳児てんかんでは25例についてPRRT2遺伝子バリアントの有無を検討したところ、6例にPRRT2バリアントを認めた。PRRT2バリアントを認めない19例について全エクソーム解析を試行したところ、現在まで2つの遺伝子について新規のてんかん原性遺伝子の可能性があることが判明した。そのうち1つの遺伝子は複数の家系に関与しており、その病原性について解析を進めている。解析を行った症例では、PRRT2バリアントの有無によって発作予後には大きな相違はないが、PRRT2バリアントを認めない症例では年長児になっても発作が残存する例や知的能力症・神経発達症を認める症例が散見される点で、PRRT2バリアントを認める症例とは相違があった。Dravet症候群を疑う症例では、6例について様々な方法で遺伝子解析を試行した。6例中4例にはSCN1A遺伝子の病的なバリアントを認め、臨床症状と合わせてDravet症候群と診断した。これらの症例は全て顕著な発熱過敏性と多彩な発作を認め、抗発作薬による治療にもかかわらず発作が持続していた。1例はSTXBP1遺伝子に病的バリアントを認めた。この症例では家族の希望で抗発作薬を中止しケトン食による治療を行っているが、比較的発作コントロールは良好である。DEEを疑う症例では、全エクソーム解析によってKCNT1、TBCD1、SCN2A、CLTC、CHD2など様々な遺伝子バリアントを同定することができた。いずれの症例も著しい治療抵抗性の重篤なてんかん発作と重度の発達遅滞を呈した。このような重症症例における遺伝子解析の意義が確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナウイルス感染症の流行により、研究のための時間の確保や情報の収集が困難になったこと、多施設との連携に困難が生じたこと、患者の受診控えなどの影響で、研究の進捗に遅滞を生じた。

今後の研究の推進方策

新たな症例の遺伝学的解析を進めるとともに、前年度に得られた症例についてさらに解析を進める。特に、PRRT2バリアントを認めない良性乳児てんかん、SCN1A遺伝子バリアントを認めない発熱感受性てんかんの新たな候補遺伝子については、その病的意義を解明することを試みる

次年度使用額が生じた理由

症例の集積が滞ったため、遺伝子解析を行うことができず次年度使用額が生じた。今後遺伝子解析を行う症例が増えると予想される。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Long-term efficacy of nusinersen and its evaluation in adolescent and adult patients with spinal muscular atrophy types 1 and 2.2023

    • 著者名/発表者名
      Iwayama H, Kawahara K, Okumura A, et al
    • 雑誌名

      Brain Dev

      巻: 45(2) ページ: 110-116

    • DOI

      10.1016/j.braindev.2022.10.006

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A nationwide survey of human metapneumovirus-associated encephalitis/encephalopathy in Japan.2023

    • 著者名/発表者名
      Mori A, Kawano Y, Okumura A, et al.
    • 雑誌名

      Brain Dev

      巻: 45(4) ページ: 197-204

    • DOI

      10.1016/j.braindev.2023.01.001.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Severe pediatric acute encephalopathy syndromes related to SARS-CoV-2.2023

    • 著者名/発表者名
      Sakuma H, Takanashi JI, Okumura A, et al.
    • 雑誌名

      Front Neurosci

      巻: 17 ページ: 1085082

    • DOI

      10.3389/fnins.2023.1085082

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Bacteremia Caused by Kalamiella piersonii Found in an Infant During the Course of Gastrointestinal Food Allergy.2023

    • 著者名/発表者名
      Sada J, Hirai J, Okumura A, et al.
    • 雑誌名

      Infect Drug Resist.

      巻: 16 ページ: 2647-2651

    • DOI

      10.2147/IDR.S402364

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Radial nerve palsy caused by a rapidly growing intramuscular hematoma in an infant with biliary atresia: a case report.2023

    • 著者名/発表者名
      Kawahara K, Ota K, Okumura A, et al.
    • 雑誌名

      BMC Pediatr.

      巻: 3(1) ページ: 247

    • DOI

      10.1186/s12887-023-04071-5

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Current status of neonatal jaundice management in Japan.2023

    • 著者名/発表者名
      Honbe K, Hayakawa M, Okumura A, et al.
    • 雑誌名

      Pediatr Int

      巻: 65(1) ページ: e15617

    • DOI

      10.1111/ped.15617

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Medical records as screening tools for child death review in Japan.2023

    • 著者名/発表者名
      Numaguchi A, Ishii A, Okumura A, et al.
    • 雑誌名

      Pediatr Int

      巻: 65(1) ページ: e15692

    • DOI

      10.1111/ped.15692

    • 査読あり
  • [学会発表] てんかん発作とてんかんでない「発作」:見分けるコツ2023

    • 著者名/発表者名
      奥村彰久
    • 学会等名
      第126回日本小児科学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] Dravet症候群の診断と治療 New Chapter2023

    • 著者名/発表者名
      奥村彰久
    • 学会等名
      第34回日本小児神経学会中国・四国地方会
    • 招待講演
  • [学会発表] 子どものてんかん診療における脳波の役割と抗発作薬2023

    • 著者名/発表者名
      奥村彰久、河村吉紀、前澤聡、沼本真吾、斎藤竜太、吉川哲史
    • 学会等名
      第19回日本てんかん学会近畿地方会
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi