研究課題/領域番号 |
21K07821
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
檜垣 克美 鳥取大学, 研究推進機構, 准教授 (90294321)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | シャペロン / アロステリック / ライソゾーム / 中枢神経障害 / 低分子化合物 |
研究実績の概要 |
ライソゾーム病とは、細胞内小器官ライソゾームに局在する加水分解酵素の遺伝的欠損により引き起こされる疾患群の総称である。ライソゾーム病の治療法として、現在、酵素補充療法、基質合成抑制療法、シャペロン療法などが応用されている。我々はライソゾーム病の約半数が小児期の中枢神経障害を主症状として発症することから、脳に効果を示す低分子化合物を用いたシャペロン療法の開発を行ってきた。シャペロン療法では、標的酵素に結合する低分子化合物を細胞内で作用することで、構造的に不安定な変異酵素を安定化し、酵素活性を復元することで効果を得ることができる。また、低分子化合物は脳を含めた広い組織での効果が期待できる。一方で従来のシャペロン療法では、標的ライソゾーム酵素の基質に類似構造を持つ低分子化合物を用いたため、高濃度使用時の基質競合阻害活性の出現が問題となっていた。本研究では、この問題を解決するため、基質結合部位と異なる部位に結合するアロステリックシャペロン化合物を用いる、新規治療法の開発を目的とした。ライソゾーム病の一つ、GM1-ガングリオシドーシスは、ライソゾーム加水分解酵素ベータ-ガラクトシダーゼの欠損により引き起こされる。試験管内試験により、ヒトベータ-ガラクトシダーゼに対しアロステリックにシャペロン効果を示す新規化合物ACG1について、本年度は、試験管内での酵素安定化活性および培養細胞を用いたシャペロン活性試験を行い、効果を明らかにした。今後は、既存の阻害型シャペロンとの比較および、併用による効果についてさらに検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトベータガラクトシダーゼに対する新規アロステリックシャペロン候補化合物について、試験管内酵素安定化活性および、培養細胞を用いた変異酵素安定化活性について確認できたことから、シャペロンとしての確証を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトベータガラクトシダーゼに対する新規アロステリックシャペロン候補化合物について、培養細胞試験を用い、有効性を示す変異型のプロファイリングを実施する。また、既存の阻害型シャペロンとの併用による相乗効果について検討することで、新規シャペロンとしてのさらなる確証を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の検討について、必要な資材がそろっており検討が支障なく実施できたため。また、生じた次年度使用額のついては、来年度以降に支出を計画している。
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