研究課題/領域番号 |
21K07826
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
村松 一洋 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70510907)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オートファジー / WDR45 / 神経変性疾患 / ミトコンドリア / 病態モデル |
研究実績の概要 |
SENDA/BPAN (static encephalopathy of childhood with neurodegeneration in adulthood/βpropeller protein associated neurodegeneration)は脳内に鉄沈着を伴う神経変性症(NBIA: neurodegeneration with brain iron accumulation)の一型で、小児期から知的発達が停滞し、成人期にジストニアやパーキンソン様症状を呈して、認知症となる。原因遺伝子WDR45はオートファジーに重要な分子WIPI4をコードしている。 オートファジーとは、細胞内の不要な成分をリソソームで分解・除去するシステムで、細胞の品質管理・維持に必須の細胞内分解機構である。 SENDA/BPANはオートファジー機能の異常により発症する神経変性疾患で、オートファジー機能不全がヒトの疾患に直接的に関与していることを初めて示した疾患でもある。患者リンパ芽球でオートファジー活性が低下していることはわかっているが、病態解明には至っていない。そのためまず、オートファジーをリアルタイムに捉え、動的な生命現象として解析する必要がある。従来の解析では任意の一時点のみを捉える手法が実施されていた。これを解決するために申請者は、オートファジーを可視化できる蛍光プローブにより、ライブイメージングでリアルタイムに解析する手法を確立した。2022年度はB)細胞傷害性とD)オルガネラの形態学的変化について主に検証したところ、ミトコンドリアの機能低下やERストレスの増加などが確認された。線維芽細胞において、ライブイメージングの条件設定などを実施した。現在、患者由来iPS細胞への蛍光プローブ導入や分化誘導など次年度の準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
疾患モデル細胞でのオートファジー機能評価系が確立し、実際に評価を実施した。線維芽細胞では細胞傷害性とオルガネラの形態学的変化を解析した。 ライブイメージングの条件設定をすすめ、観察可能な状態とした。 iPS細胞へのプローブ導入など次年度実施計画のための準備を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、線維芽細胞による解析は予定通りに進行している。iPS細胞を用いた解析については分化誘導が実施の要となる。観察用のプローブ導入や安定的で効率のよい分化誘導方法の確立に努める。その他の手法については、特段の支障はないと予想され、次年度も計画に沿って進めることが可能と予測される。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費が定価よりも安価に購入できたこと、新型コロナウイルス感染状況による、国際学会参加見合わせ、および、海外からの資材調達の遅延や供給停止が生じて、購入が果たせなかったことなどが挙げられる。次年度は、iPS細胞によるダイナミックな観察を進める予定である。
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