研究課題/領域番号 |
21K07829
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
三浦 健一郎 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (70408483)
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研究分担者 |
山本 俊至 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20252851)
服部 元史 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50192274)
栗原 秀剛 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (80311976)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 巣状分節性糸球体硬化症 / ポドサイト / 蛋白尿 / ネフリン |
研究実績の概要 |
難治性ネフローゼ症候群を呈する巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の腎移植後再発は移植腎機能廃絶のリスクが高く、小児腎移植領域の重要臨床課題である。最近、固有腎の微小変化型ネフローゼ症候群の原因として抗ネフリン抗体が発見され、約30%の症例で蛋白尿発症の病因になっていることが報告された。そこでわれわれは移植後FSGS再発患者における抗ネフリン抗体の病的意義を検討した。移植後FSGS再発患者のうち、血漿および移植腎の血流再開後1時間の生検検体(1h検体)の保存がある4例において、患者血漿中に抗ネフリン抗体の測定と1h検体におけるネフリンとIgGの染色を行った。4例全例で血漿中に抗ネフリン抗体の存在を確認し、1h検体においてポドサイト内のIgGとネフリンの共局在を認めた。さらに、ネフリンはリン酸化を受けポドサイト内で局在変化しており、細胞骨格蛋白であるcdc42の発現が低下していることを確認した。一方、移植後再発のなかった5例中4例では血漿中の抗ネフリン抗体は低値で、移植後1h検体においてIgGの沈着を認めず、ネフリンの局在変化もなかった。残りの1例では再発例と同様にIgGの沈着とネフリンとの共局在を認めたが、血漿中の抗ネフリン抗体は再発例に比して低値であった。以上から、腎移植後FSGS再発に抗ネフリン抗体が関与することが示された。今後さらに、培養細胞における抗ネフリン抗体によるネフリンのリン酸化と細胞骨格蛋白の挙動を確認する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
巣状分節性糸球体硬化症の腎移植後再発例において、ポドサイト関連分子の挙動の解析を含めた病態の解明が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞での抗ネフリン抗体によるネフリンのリン酸化や細胞骨格蛋白の挙動を解析する。また、固有腎の微小変化型ネフローゼ症候群患者の血漿や生検検体においても同様の解析をし、FSGSとの病態の共通点や相違点を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究費はほぼ使用済みであり、計画通りである。
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