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2021 年度 実施状況報告書

低体温療法を中心としたグリアの機能制御による新生児脳障害の包括的な新規治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 21K07830
研究機関愛知医科大学

研究代表者

垣田 博樹  愛知医科大学, 医学部, 講師 (40528949)

研究分担者 竹下 覚  愛知医科大学, 医学部, 助教 (20715875)
山田 恭聖  愛知医科大学, 医学部, 教授 (60405165)
青山 峰芳  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (70363918)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードグリア / 低体温療法 / 新生児脳障害 / エリスロポエチン / 脳室周囲白質軟化症 / ミクログリア / アストロサイト
研究実績の概要

新生児脳障害の原因としては、大きく正期産児にみられる新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)と早産児にみられる脳室周囲白質軟化症(PVL)が挙げられる。これらの疾患は脳性マヒをはじめとする重篤な後遺症を残し、その克服は現在の新生児医療における大きな課題である。新生児脳障害の治療法として、現在までに確立しているのはHIEに対する低体温療法のみである。しかしながら低体温療法を施行しても、依然として30-60%の症例で予後不良であるのが現状であり、さらに早産児に白質傷害を起こすPVLにおいては、確立された有効な治療法はない。
申請者らは、培養グリアを用い、低温状態がアストロサイトのEPO分泌を促進し、ニューロンの傷害を抑制することを明らかにした(J Neuroinflammation 2020)。さらに、アストロサイトを低酸素および無糖状態にすることで亢進するEPOの発現にAMPKが関与していることを明らかにした(未発表)。また申請者らは低温状態がミクログリアの活性化を包括的に抑制し、神経傷害を抑制することを明らかにした(Cell Mol Neurobiol 2021)。さらに、LPSで活性化したミクログリアは低温状態で活性型AMPKの発現を促進することを明らかにした(未発表)
これらの研究成果はグリアに注目した基礎研究で、低体温療法の脳保護メカニズムのさらなる解明、新規補完治療法の開発につながる可能性がある。さらにグリアの機能を制御することで低体温療法が施行困難な早産児の脳室周囲白質軟化症も含めた包括的な新生児脳障害の治療成績を向上させることが期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

低体温療法の脳保護効果にAMPKやEPOの関与が、グリアを用いた培養細胞で明らかになった。現在はHIEのモデル動物を作成に取り組み、モデル動物を使ったより臨床に近い状態での実験を行えているため。

今後の研究の推進方策

申請者らはP7のラットを用いて総頸動脈結紮、低酸素負荷を加えることでニューロン、オリゴデンドロサイトを広範囲に傷害するHIEモデルラットを作成し、解析を開始している。このHIEモデルラットを用い、傷害後低温状態におくことで死亡率および神経学的異常の改善がみられるかを検討する。さらに、脳の凍結切片を作成し免疫染色を行い、脳傷害の部位と程度、病変部でのグリア細胞の集積、形態変化などを検討する。またラットの脳を回収し、Milteny Biotech社製のgentle MACS によりマイルドに単細胞化したのち、BD Biosciences社製のFACS Verseを用いて、全脳細胞の中からグリアおよびニューロンの表面抗原の発現の変化を解析する。さらに、BD Biosciences社製のFACS AriaⅡを用いて、特定の細胞集団を回収し、活性化マーカーである炎症性サイトカインや神経保護因子の発現を定量的RT-PCRによって解析し、細胞レベルでの変化を遺伝子発現の変化によって比較検討する。

次年度使用額が生じた理由

モデル動物の作成に成功し、当初予定していた購入予定のマウスの数を減らすことができたため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Hypothermia Attenuates Neuronal Damage via Inhibition of Microglial Activation, Including Suppression of Microglial Cytokine Production and Phagocytosis2021

    • 著者名/発表者名
      Kimura Toriuchi K, Kakita H, et al
    • 雑誌名

      Cell Mol Neurobiol

      巻: 41 ページ: 459-468

    • DOI

      10.1007/s10571-020-00860-z

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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