研究課題/領域番号 |
21K07832
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
水落 建輝 久留米大学, 医学部, 准教授 (20368921)
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研究分担者 |
西小森 隆太 久留米大学, 医学部, 教授 (70359800)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自己免疫性肝疾患 / 小児 / バイオマーカー / 遺伝子 |
研究実績の概要 |
本研究は多施設共同研究であるが、2022年3月までの時点で、18施設の倫理委員会から承認を得て、研究を展開している。血清バイオマーカー分析と網羅的遺伝子解析に用いる検体とその検体情報は、50検体以上が全国の共同研究施設から本年度に集まっている。本年度は、回収できた検体の一部を用いて、血清バイオマーカー分析と網羅的遺伝子解析のパイロット分析を行った。 血清バイオマーカー分析に関しては、候補の4つの蛋白のELISA分析手法を確立できた。20検体前後の血清検体を用いて、候補の4つの蛋白のパイロット分析を本年度に行った。候補の蛋白の中の1つが、ALTやGGTが正常値で寛解状態の自己免疫性肝炎や原発性硬化性胆管炎で、健常小児より統計学的有意差を持って上昇していることを見出した。以上の結果は、この候補蛋白の中の1つが、自己免疫性肝炎や原発性硬化性胆管炎の早期診断や病勢の鋭敏な評価に、現在臨床現場で使用されているALTやGGTより役立つ可能性を示唆している。 網羅的遺伝子解析に関しては、本研究に関連する44遺伝子を網羅的に解析する、新しい遺伝子パネルを作成した。具体的には、自己免疫性肝炎もしくは原発性硬化性肝炎に関連すると報告されている38遺伝子、反復性急性肝不全に関連すると報告されている6遺伝子、以上を含むパネルを作成した。本年度は、自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎、原因不明の慢性肝炎など、15例の血液検体を用いて初回の網羅的遺伝子解析を行ったが、順調に機能できていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は多施設共同研究であるが、参加予定のほとんどの施設で倫理委員会の承認を得て、検体と情報の収集を始めることができたため。 血清バイオマーカー研究では、候補蛋白4つのELISA分析に関して手法を確立でき、パイロット分析で有用な候補蛋白を同定できたため。 また、本研究のターゲットとなる遺伝子を網羅した、44遺伝子パネルを作成し、パイロット分析でその遺伝子パネルがうまく機能していることを確認できたため。
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今後の研究の推進方策 |
共同研究施設からさらに多くの検体と情報を収集し、検体数が多くエビデンスが高い研究成果を得るようにする。 血清バイオマーカー研究に関しては、本年度に同定した候補蛋白が自己免疫性肝炎や原発性硬化性胆管炎の診断や病勢評価に有用か確認するため、来年度以降は検体数を増やして、疾患コントロールとも比較して検証していく。 網羅的遺伝子解析に関しては、来年度以降は解析検体を増やし、疾患ごとの遺伝子変異状況を精査し、疾患と関わりのある遺伝子や単一遺伝子病を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で、学術集会参加や研究打ち合わせで必要な旅費が当初の予定より少なかった。 血清バイオマーカー分析と網羅的遺伝子解析に用いた検体数が、当初の予定より少なかったため、物品費が当初の予定より少なかった。 次年度に、学術集会への参加費と旅費、血清バイオマーカー分析用のELISAキット費、以上で使用する予定である。
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