研究課題/領域番号 |
21K07836
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
長森 恒久 旭川医科大学, 医学部, 講師 (40400098)
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研究分担者 |
吉田 陽一郎 旭川医科大学, 大学病院, 助教 (80750306)
石羽澤 映美 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (90516402)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | TRNT1 / SIFD / 小胞体ストレス / B細胞性免疫不全 / 形質細胞 |
研究実績の概要 |
①患者線維芽細胞において、Tunicamycin誘導小胞体ストレスの程度を見た。健常ヒト線維芽細胞に比して、spliced XBP1 mRNA発現亢進とウェスタンブロットでのリン酸化IRE1aの増加を確認した。②患者細胞ではTRNT1蛋白は健常と同じサイズで発現が低下している。またこのTRNT1発現低下はMG132の添加によって部分的に解除される。つまり、患者のR99W変異TRNT1は蛋白安定性の低下によりプロテアソーム分解を受けている事がわかった。③不死化線維芽細胞においてTRNA1をsiRNAノックダウンした。その上でTunicamycin誘導小胞体ストレスの程度を見た。spliced XBP1 mRNA発現亢進とウェスタンブロットでのリン酸化IRE1aの増加を確認した。④マウスマクロファージ系のRaw細胞にNF-kB-分泌型アルカリフォスファターゼの安定発現系を用いてTRNT1 siRNAノックダウンがNF-kB活性に及ぼす影響を見た。Tunicamycin刺激下でのNF-kB産生はノックダウンで亢進した
上記の所見を得た。①で実際の患者由来細胞での表現型を見ている事は重要であり、本研究の根幹をなす知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度中に病態解明の根幹を形成するデータを得られた。 これを基盤として研究を進めていけば必ず成果を形成しうるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
①小胞体ストレス亢進によるNF-kB活性亢進と自己炎症との関連を明らかにする ②免疫グロブリンを産生するハイブリドーマを使用しTRNT1ノックアルトによるアポトーシス誘導の細胞腫による変化を見る ③in vitroでの対処法としてケミカルシャペロン作用を持つ薬剤のTRNT1欠失に対する補助的役割を証明する
ユビキタスな小胞体ストレスへの高感受性、また高分子タンパクを産生する形質細胞でのアポトーシス亢進が見れれば興味深い。SIFDでのケミカルシャペロンによる進行性B細胞性免疫不全の進行を抑制するなど、実臨床へフィードバックできる所見を得たい。
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