研究課題
基盤研究(C)
血管内皮細胞を用いた実験により、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の下流に位置する内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)がPLCγを介して細胞間接着因子VE-cadherinを活性化して血管透過性が亢進する。このメカニズムはいまだ治療法の確立されていない下痢関連溶血性尿毒症症候群(D+HUS)の病態の中でも中心的な役割を果たしており、eNOSやVEGFを阻害することにより治療に役立てる可能性を示唆するものである。
小児科
D+HUSは小児で好発する重篤な疾患の一つで、腸管出血性大腸菌感染後、腎糸球体血管内皮細胞にて血栓性微小血管障害を起こし腎機能障害に至る。分子レベルでの病態は未だ明らかでなく、かつ根本治療も存在しない。今回の成果で、その病態へのeNOSの関与が明らかとなった。eNOSの治療薬は動物ですでにいくつか明らかにされてきているため、ヒトへの応用によってD+HUSの新規治療が期待できる状況となった