研究課題/領域番号 |
21K07844
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
大西 新 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 特任教授 (00507014)
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研究分担者 |
横田 茂文 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (50294369)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | セロトニン伝達 |
研究実績の概要 |
新生児期の強いビリルビン代謝異常は重大な脳神経障害(核黄疸)を起こすことから、現在、出生時にビルルビン代謝に異常があった場合、光線療法などの治療が行われている。近年、核黄疸を起こさない程度のビリルビン代謝異常であっても脳神経発達に障害を与え様々な精神神経疾患の原因になると考えられており、Bilirubin Induced Neurological Disorder; BINDという新たな疾病概念が提唱されている(Riordan & Shapiro 2020 Pediatric res. )。しかしながらBINDの病態生理は未だ不明な点が多い。近年、我々の研究グループはBINDのモデル動物にみられる行動障害の背景にはモノアミン神経障害(セロトニン神経伝達障害)がある可能性を見出した(Miura Neuro2019, Oh-Nishi SFN2019)。本年度はBINDモデルであるGunn rat にみられる行動障害の背景にはセロトニン過剰伝達があるのではないかという仮説から、本年度はセロトニン伝達阻害を薬理的手法によって行いその実証を試みた。セロトニンはセロトニン受容体の一つである5HT1A/Bを刺激することによってその分泌を阻害することができる。そこで5HT1A/BパーシャルアゴニストであるエルトプラジンをGunn ratの皮下に投与しその行動を観察した結果、多動や認知機能の改善が観察された。エルトプラジンは前頭葉におけるセロトニン伝達を低下させることがラットの実験によってしめされていることから、この結果は仮説通り、セロトニンの過剰伝達がGunn ratに見られる行動障害を引き起こす一因になっている可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
仮説通りの実験結果をえることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、薬理的実験及び化学遺伝学的実験によって、BINDモデル動物にみられる行動障害の背景にはセロトニンの過剰伝達があることを実証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究自体は順調に進んだがコロナの影響もあり、十分に実験が出来なかった。
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