研究実績の概要 |
ゲノム編集技術を用いてプラダー・ウィリー症候群責任領域の複数の遺伝子の遺伝子改変マウスを作製した。2021年度にはSnrpn, Snord116, Snord115の遺伝子の欠失マウス、2022年度はMkrn3,Magel2, Ndnの遺伝子改変マウスを作製し、2023年度にはSnrpn-Ndn間を様々な長さで欠失したマウスを作製した。 2023年度に作製したSnrpn-Ndn間の、Ndnよりの約1/3の領域のを欠失したマウスでは、母親アレルの欠失したマウスは体重増加の異常を認めなかったが、父親アレルの欠失で新生児期体重増加不良を認めた。同領域領域はmiRNAが存在するため、miRNAの存在する領域に絞って欠失マウスを作製したところ、miRNAの発現は父親アレルのみからであった(母親性インプリンティング)が、体重減少は見られなかった。従って同領域の欠失による新生児期体重減少の原因はmiRNAではなく、他の遺伝子によるものと考えられた(日本小児神経学会、日本分子生物学会で発表)。現在、さらに候補領域を狭めて欠失マウスを作製中である。 2021年度に作製したSnrpn exon1上流6kbからエクソン1までを欠失したマウスは新生児期致死ではなかったが、新生児期体重増加不良をみとめた。この領域をさらに短く欠失させたマウスでは、CTCF結合領域と考えられる約200bpの欠失でも新生児期体重増加不良を認めた。この約200bpの領域の欠損は、周囲の遺伝子(Ndn, Magel2, Snord116など)の発現に影響を与えておらず、他の遺伝子の関与が示唆された。
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