研究課題/領域番号 |
21K07855
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
千代延 友裕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40571659)
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研究分担者 |
吉田 英樹 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 准教授 (30570600)
笠井 高士 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70516062)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | STXBP1 / αシヌクレイン / ショウジョウバエ / iPS細胞 |
研究実績の概要 |
発達性てんかん性脳症の代表的な原因遺伝子であるSTXBP1の機能不全とαシヌクレイン(α-syn)神経毒性の関連について、患者由来iPS細胞およびショウジョウバエモデルを用いて検証する。本研究はSTXBP1脳症における神経変性の病態を明らかにすることに加え、パーキンソン病を中心としたαシヌクレイノパチーの病態解明に新たな知見を与える可能性がある。 STXBP1にナンセンス変異を有する患者から樹立したiPS細胞およびゲノム編集により変異を修復した対照iPS細胞をGABAニューロンに分化誘導し、分化誘導8週目にマイクロアレイ解析を行った。同定した35個の発現変動遺伝子のうち、タンパクをコードする遺伝子は14個あり、その中にパーキンソン病との関連が報告されているSIAH3およびINPP5Fが含まれていた。STXBP1脳症における神経変性にこれらの遺伝子が関与する可能性が示唆された。 また、パーキンソン病モデルとして汎用されているヒトα-synトランスジェニックショウジョウバエ(α-syn TG fly)に認める神経変性および運動障害がSTXBP1の相同遺伝子(Rop)の変異体との交配により増悪するか検討した。Ropの変異体として2つの系統(A3およびG27)を用いた。両系統ともにα-syn TG flyの複眼変性を増強させ、運動障害を増強(Climbing assayによる評価)させることを明らかにした。また、ショウジョウバエ頭部から抽出したタンパクにおいて、Rop変異体との交配はTriton-X可溶性のα-synを減少させ、不溶性のα-synを増加させた。STXBP1の機能不全がα-syn神経毒性の増悪因子となることが生体モデルにおいて初めて示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
STXBP1変異がα-syn神経毒性の増悪因子となることを示し、今後の治療探索研究の評価系がおおむね構築されているため。
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今後の研究の推進方策 |
ショウジョウバエにおいてRop変異がα-synにおよぼす生化学的な影響をさらに詳細に検討する。また、候補化合物を用いて、神経変性を低減させる治療を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
おおむね予定どおりの使用額であったが、端数(988円)の残額が生じた。
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